『ブラッサム』黒崎大三郎のモデルは誰?滝田樗陰と宇野千代の実話

NHK連続テレビ小説『ブラッサム』に、遠藤憲一さん演じる黒崎大三郎が登場しました。

文芸雑誌「首都公論」を率いる豪快な編集長ですが、実はその人物造形には、実在した『中央公論』の名編集者・滝田樗陰(たきた・ちょいん)が参考にされています。

ただし、黒崎が滝田本人をそのまま再現した役というわけではありません。制作統括も、特定の実在人物をモデルにせず、ドラマ独自の人物として描いていると説明しています。

では、滝田はどんな人物だったのでしょうか。初登場の大食漢ぶりや、主人公・葉野珠のモデルである宇野千代との意外なつながりを、史実と照らし合わせて紹介します。

目次

黒崎大三郎の人物造形に参考にされた滝田樗陰とは?

2026年10月28日放送の第23回で、黒崎大三郎と副編集長・山中勇三(井浦新さん)が初登場しました。

二人が訪れたのは、珠(石橋静河さん)が働く西洋レストラン「悠樂軒」。黒崎はビフテキにカツレツ、さらにコロッケまで注文し、初登場から強烈な印象を残しました。

この豪快な食べっぷりには、きちんと由来があります。

制作統括の村山峻平さんは、黒崎の人物造形に『中央公論』で活躍した滝田樗陰を参考にしたと説明。滝田自身も大食漢として知られており、その逸話への敬意を込めて初登場シーンに取り入れたそうです。

さらに、昼から豪勢な食事を楽しむ姿には、当時の『中央公論』の勢いを表す意味もあったといいます。単なる食いしん坊キャラではなかったのですね。

滝田樗陰はどれほどすごい編集者だった?

滝田樗陰は1882年生まれの編集者で、本名は滝田哲太郎。大正期の『中央公論』を代表する人物として知られています。

『中央公論』は文学だけでなく、政治や社会についての評論も掲載する総合雑誌。滝田は作家や論客とのつながりを広げ、雑誌の存在感を高めていきました。

当時の編集者は、届いた原稿を選ぶだけの仕事ではありません。新しい才能を探し、作家に執筆を依頼し、時代を動かす議論を世に送り出す役割も担っていました。

黒崎が文壇で一目置かれる存在として描かれているのも、こうした編集者の影響力を背景にしているのでしょう。

滝田は1925年10月27日に43歳で亡くなりました。奇しくも黒崎の初登場は、滝田の命日の翌日にあたる10月28日。ただし、放送日が意図的に合わせられたという発表はありません。

宇野千代との出会いはレストラン!原稿料366円の実話

滝田樗陰と宇野千代の関係を知ると、『ブラッサム』のレストランでの場面がさらに面白く見えてきます。

1917年、まだ作家として世に出る前の宇野千代は、東京・本郷の西洋料理店「燕楽軒」で働いていました。そこに客として訪れていたのが滝田です。

ドラマの「悠樂軒」と、史実の「燕楽軒」。名前が似ているだけでなく、若い女性と文壇の有力編集者が出会うという構図も重なっています。

送った原稿の返事が来ないと思ったら…

その後、北海道で暮らしていた宇野千代は短編小説『墓を発く』を書き、滝田のもとへ送りました。

ところが、待っても返事がありません。気になった千代は1922年4月、札幌から東京へ向かい、中央公論社を訪ねます。

そこで知らされたのは、なんと『墓を発く』が『中央公論』1922年5月号に掲載されるという知らせでした。

さらに受け取った原稿料は366円。当時としては大きな金額で、千代はその後、故郷の山口県岩国へ向かっています。

レストランで顔を合わせた編集者に原稿を送り、数年後に文芸誌への掲載が実現する。まるでドラマの筋書きのようですが、こちらは宇野千代の作家人生に実際にあった出来事です。

なお、これは千代の作家としての最初の受賞ではありません。『墓を発く』に先立ち、『脂粉の顔』が新聞の懸賞小説で一等に選ばれています。

「首都公論」は実在した?山中勇三にもモデルがいる?

ドラマの「首都公論」は架空の雑誌ですが、その背景には実在の『中央公論』の歴史が色濃く反映されています。

一方、井浦新さん演じる山中勇三についても、特定の実在人物をそのままモデルにしたとは発表されていません。

制作統括の村山さんは、黒崎を「攻め」、山中を「守り」の編集者として位置づけています。

新しい才能を見いだし、勢いよく時代を切り取ろうとする黒崎。それに対し、山中は困難な時代にも文学を守り続けようとする人物です。

実際の中央公論社には、滝田の後の時代を支えた嶋中雄作という出版人もいました。山中と嶋中を重ねて見ることはできますが、両者を同一人物と考えるのは早計でしょう。

『ブラッサム』は宇野千代の生涯を大胆に再構成したフィクションです。史実を知ったうえで、どこがドラマ独自の展開なのかを見比べるのも楽しみ方の一つです。

黒崎は今後、珠の作家人生にどう関わる?

10月29日放送予定の第24回では、珠が自分で書いた短編小説を黒崎に直接渡す展開が予告されています。

史実の宇野千代は、滝田との縁を通じて『中央公論』への作品掲載を実現しました。ドラマでも黒崎が珠の才能にどう向き合うのか、気になるところです。

もちろん、史実と同じ道筋になるとは限りません。だからこそ、遠藤憲一さんの豪快な編集長が、珠の人生にどんな変化をもたらすのか注目したいですね。

まとめ

『ブラッサム』の黒崎大三郎は、実在した編集者・滝田樗陰の人物像や逸話を参考にして作られた、ドラマオリジナルのキャラクターです。

滝田は『中央公論』で活躍した名編集者で、宇野千代が作家として飛躍するきっかけにも関わった人物でした。

レストランでの出会い、大食漢の逸話、原稿料366円のエピソード。背景にある史実を知ると、黒崎の登場シーンが少し違って見えてきます。

黒崎と山中が珠の未来にどう関わるのか、これからの物語が楽しみです。

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