萩尾望都、山岸凉子、大和和紀。少女漫画の歴史を語るうえで欠かせない3人の原画が、東京・六本木に集まります。
2026年10月28日から国立新美術館で開催される「少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展」。モノクロ・カラーを合わせて800点以上の原画が展示される予定です。
『ポーの一族』『日出処の天子』『はいからさんが通る』。なぜ、この3人の作品は何十年も読み継がれるのでしょうか。会期やチケット料金から代表作、少女漫画を変えた功績まで紹介します。
三人展「少女漫画・インフィニティ」はいつまで?
開催期間は2026年10月28日(水)から2027年2月8日(月)まで。国立新美術館の開館20周年を記念した企画で、国立の美術館で開催される初の大規模な少女漫画展です。
1960年代後半にデビューし、1970年代の少女漫画黄金期を支えた3人の画業を、初期から現在まで振り返ります。
| 会場 | 国立新美術館 企画展示室2E(東京都港区六本木7-22-2) |
|---|---|
| 会期 | 2026年10月28日~2027年2月8日 |
| 前期 | 10月28日~12月14日 |
| 後期 | 12月16日~2月8日 |
| 開館時間 | 10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで、入場は閉館30分前まで) |
| 当日券 | 一般2,200円/大学生1,000円/高校生500円/中学生以下無料 |
休館日は原則火曜日と11月4日、12月28日~2027年1月5日。ただし11月3日と12月8日の火曜日は開館します。カラー作品には前期・後期の展示替えがあるので、見たい原画がある場合は注意しましょう。
萩尾望都・山岸凉子・大和和紀の代表作は?
萩尾望都|『ポーの一族』『トーマの心臓』『11人いる!』
萩尾望都(はぎお・もと)は1949年福岡県生まれ。1969年『ルルとミミ』でデビューしました。
『ポーの一族』では年を取らない少年エドガーの孤独や喪失を描き、『トーマの心臓』では少年たちの複雑な愛情や罪悪感に迫ります。一方『11人いる!』は宇宙を舞台にしたSF。題材の振り幅に驚かされます。
幻想的な設定を使いながら、人間が生きることの意味や他者との関係を深く描いた作家です。少女漫画の中にSFや哲学的な問いを広げた功績は大きく、2019年には文化功労者に選ばれました。
山岸凉子|『日出処の天子』『アラベスク』『テレプシコーラ/舞姫』
山岸凉子(やまぎし・りょうこ)は1947年北海道生まれ。1969年『レフトアンドライト』でデビューしました。
『日出処の天子』は、聖徳太子を独自の視点で描いた歴史漫画。愛情や嫉妬、執着といった人間の心理が濃密に描かれ、歴史上の人物のイメージを揺さぶりました。
バレエ漫画『アラベスク』や『テレプシコーラ/舞姫』では、舞台の華やかさだけでなく、踊る人の身体と精神、努力や葛藤にも迫ります。
歴史、バレエ、ホラーなど異なるジャンルを行き来しながら、人間の心の奥を鋭く見つめるのが山岸作品の魅力です。
大和和紀|『はいからさんが通る』『あさきゆめみし』『ヨコハマ物語』
大和和紀(やまと・わき)は1948年北海道生まれ。1966年『どろぼう天使』でデビューしました。
大正時代が舞台の『はいからさんが通る』は、主人公・花村紅緒が時代の価値観に流されず、自分らしく生きようとする物語。恋愛やユーモアを楽しめる一方で、女性の自立も重要なテーマです。
『あさきゆめみし』は紫式部の『源氏物語』を漫画化した作品。複雑な人物関係と平安貴族の世界を、美しい絵で身近にしてくれました。
歴史や古典を難しいものとして遠ざけず、読者が登場人物と一緒に泣いたり笑ったりできる物語に変える。その力が大和作品の魅力です。
3人は少女漫画をどう変えた?
3人が登場する以前から、少女漫画には優れた作品や先駆者が数多く存在しました。だからこそ「3人だけが少女漫画を変えた」と言い切るのは正確ではありません。
ただ、1970年代に少女漫画が大きく進化したこと、その中心で3人が独自の表現を切り拓いたことは確かです。
萩尾望都はSFや幻想の世界を通じて生と死、自己認識を問い、山岸凉子は歴史や芸術を通じて人間心理の暗部を描きました。大和和紀は古典や歴史を舞台に、自分の人生を切り開く女性たちを描きました。
共通するのは、少女漫画の題材を恋愛や学校生活だけに限定しなかったこと。人物の感情を伝えるコマ割り、余白、視線、カラー表現も作品世界を支えています。
3人の作品を並べてみると、少女漫画は一つのジャンルというより、さまざまな物語を描ける豊かな表現の場なのだと実感できます。
原画800点以上!前期・後期の見どころは?
展覧会ではモノクロ・カラー原画合わせて800点以上が展示予定です。印刷された漫画ではわかりにくい繊細な線、色の重なり、ページ全体の構図を間近で見ることができます。
公式に紹介されている展示例では、前期に萩尾望都『ポーの一族 春の夢』の2016年の表紙、山岸凉子『アラベスク』の1972年の扉絵、大和和紀『はいからさんが通る』の1976年の原画が登場します。
後期には萩尾望都『トーマの心臓』の文庫カバー、山岸凉子『日出処の天子』の1980年・1981年の扉絵、大和和紀『ヨコハマ物語』の単行本カバーなどが紹介されています。
同じ作品でも、すべての原画が会期中ずっと展示されるわけではありません。特定の作品目当てなら、訪問前に国立新美術館の公式案内で展示期間を確認するのがおすすめです。
まとめ|少女漫画を知らない人にも見てほしい三人展
萩尾望都、山岸凉子、大和和紀。3人はそれぞれSF、心理・歴史、古典・女性の生き方という異なる切り口から、少女漫画の可能性を広げてきました。
三人展「少女漫画・インフィニティ」は2027年2月8日まで。昔からのファンはもちろん、作品をまだ読んだことがない人にとっても、少女漫画の奥深さに出会える機会です。
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