ちばてつやさん最後の漫画は?『ひねもすのたり日記』最終掲載回と70年の功績

『あしたのジョー』で知られる漫画家・ちばてつやさんが、2026年10月22日に87歳で亡くなりました。小学館が27日に発表しています。

1956年のデビューから画業70年。晩年まで描いていた漫画は、エッセイ作品『ひねもすのたり日記』でした。

最後に掲載されたのはどんな話だったのか。休載から訃報までの経緯と、漫画界に残した功績を振り返ります。

目次

ちばてつやさん最後の漫画は『ひねもすのたり日記』

ちばてつやさんが晩年に連載していたのは、小学館『ビッグコミック』の『ひねもすのたり日記』です。

2015年12月に始まった、1話4ページのオールカラー・エッセイ漫画。ちばさん自身が登場し、子ども時代や家族、漫画家仲間との思い出、日々の暮らしを描いてきました。

ボクシングに青春を懸ける『あしたのジョー』とは異なり、自らの人生を静かに振り返る作品です。それでも、人間への温かなまなざしという点では、長年のちば作品と通じるものがあります。

最後の掲載回は第248回「夏の祈り」

2026年10月28日時点で確認できる最後の掲載回は、8月7日公開の第248回「夏の祈り」です。

ちばさんは同日、自身のブログで、8月15日の終戦記念日が近いことから戦争に関わる話を描いたと紹介していました。

旧満州で終戦を迎え、戦後に日本へ引き揚げたちばさん。戦争の記憶を漫画で伝えることは、晩年の創作における大切なテーマでした。

ただし、「夏の祈り」は作者が完結編として発表した最終回ではありません。あくまで現時点で確認できる最後の掲載回です。また、最後に実際に描いた原稿が何だったのかも公表情報だけでは特定できません。

2026年夏に体調不良で休載、再開はかなわず

『ひねもすのたり日記』は2026年夏ごろから体調不良による休載となり、その後、連載再開はかないませんでした。

ちばさんは以前にも休載を経て復帰しており、今回も再開を待っていた読者は少なくなかったはずです。

生前最後のブログ更新は8月17日。「ジローに再会!!」と題し、息子がAIを使って作ってくれた、亡くなった愛犬ジローのフィギュアを紹介していました。

作品とブログのどちらにも、身近な人や動物への愛情がにじんでいます。

『ひねもすのたり日記』に込めた戦争と家族の記憶

ちばさんは1939年1月11日に東京で生まれ、幼少期を旧満州の奉天(現在の中国・瀋陽)で過ごしました。

終戦後は日本へ引き揚げ、1956年に貸本向けの単行本で漫画家デビューを果たします。

『ひねもすのたり日記』では、こうした激動の少年時代から、漫画家として過ごした日々までを題材にしていました。

戦争体験を伝える一方、日常のちょっとした出来事をユーモラスに描くのも魅力です。大事件ばかりでなく、家族との会話や懐かしい友人の思い出にも目を向ける。そんな作品だからこそ、作者の人柄を身近に感じられます。

70年にわたり漫画を描いてきた人が、最後の連載では自分自身の歩みを描いていた。その事実も印象的です。

『あしたのジョー』だけではない、ちばてつやさんの功績

矢吹丈と力石徹を生んだ『あしたのジョー』

代表作『あしたのジョー』は、高森朝雄(梶原一騎)さんの原作をもとに、ちばさんが作画を担当したボクシング漫画です。1960年代末から1970年代前半にかけて『週刊少年マガジン』で連載されました。

主人公・矢吹丈とライバル・力石徹の生き様は、漫画の枠を超えて社会現象になりました。

ジョーのラストシーンは今なお語り継がれていますが、ちばさん自身は、あの場面を描く際にジョーの生死を決めていたわけではないと語っています。読者がさまざまに受け取れる余韻も、作品の魅力なのでしょう。

剣道、相撲、ゴルフでも名作を生み出した

『おれは鉄兵』では剣道、『のたり松太郎』では相撲、『あした天気になあれ』ではゴルフを題材にしました。

また、『ハリスの旋風』や戦争を背景にした『紫電改のタカ』など、作品の幅も広く、主人公たちの弱さや豪快さを生き生きと描きました。

競技の勝敗だけではなく、そこに生きる人間の面白さを描けることが、ちばさんの強みだったのではないでしょうか。

漫画家初の文化勲章、若手育成にも尽力

ちばさんは2002年に紫綬褒章、2014年に文化功労者、2024年には漫画家として初めて文化勲章を受章しました。

日本漫画家協会の会長を務め、大学で後進の指導にも携わっています。

講談社の新人賞「ちばてつや賞」も大きな功績の一つ。多くの新人漫画家がこの賞をきっかけにプロへの道を歩み始めました。

作品を生み出すだけでなく、次の世代が漫画を描くための道を支えてきたのです。

ちばてつやさんの死去と今後のお別れの会

小学館の発表によると、ちばさんは2026年10月22日午後6時、都内の病院で亡くなりました。87歳でした。

葬儀は家族葬で執り行われ、妻の幸子さんが読者や関係者への感謝を伝えています。

お別れの会は開催に向けて検討中で、日程などはまだ発表されていません。公式発表では弔問や供花、弔電などの辞退も案内されています。

まとめ|最後まで漫画を描き続けた70年

ちばてつやさんが晩年まで連載した作品は『ひねもすのたり日記』。最後に確認できる掲載回は、2026年8月7日の第248回「夏の祈り」です。

『あしたのジョー』では架空の青年の人生を描き、晩年には自らの記憶を漫画に残しました。

戦争を経験した少年が、70年にわたって人間を描き続けた。その作品と功績は、これからも読み継がれていくことでしょう。

参考:小学館『ビッグコミック』公式訃報、ちばてつや公式サイト

  • URLをコピーしました!
目次