看護師の患者盗撮はなぜ起きる?高須幹弥医師が指摘した問題

2026年10月、患者を無断撮影した看護師の動画がSNSに流出する問題が相次ぎました。なぜ、患者を守るはずの人が、患者を笑いの対象にしてしまうのでしょうか。

美容外科医の高須幹弥医師は、病院という閉じた環境で生まれる思い込みや、職場で注意しづらい構造を指摘しています。

ただし、これは個別事件の動機が判明したという意味ではありません。実際に確認された出来事と高須医師の見解を分けながら考えてみます。

目次

患者の無断撮影、3病院で何が起きた?

千葉西総合病院では看護師2人を解雇

千葉県松戸市の千葉西総合病院では、10月5日の夜勤中に入院患者や院内を撮影した動画が、職員のグループ内で共有されました。患者の体格や体臭をからかう表現も含まれていました。

病院が問題を把握したのは8日。10日には撮影・投稿に関わった看護師2人を懲戒解雇し、閲覧のみだった1人を厳重注意としました。

本人たちは限られた仲間内での共有と認識していたと説明していますが、だからといって患者の同意のない撮影が許されるわけではありません。

JR札幌病院でも患者の画像を投稿

JR札幌病院では、患者の姿を撮影した画像や動画が看護師間で共有され、SNSに投稿されていたことが10月13日に明らかになりました。投稿に関わった看護師は、面白半分だったという趣旨の説明をしたと報じられています。

患者が治療を受けている時間は、職員にとっての日常でも、本人にとっては不安や痛みを抱えた時間かもしれません。その場面が本人の知らないところで娯楽のように扱われたことが問題です。

大阪の医誠会国際総合病院でも発覚

10月15日には大阪市の医誠会国際総合病院が、7月に当時勤務していた看護師が患者を撮影しSNSに投稿していた事案を公表しました。

報道では、患者が医療行為を拒む様子や、前髪を切られた患者の反応を笑う様子が動画に含まれていたとされています。病院は当該看護師を懲戒処分とし、その後退職しています。

3件は別々の事案です。撮影や投稿の経緯、処分をひとまとめにして考えないことも大切でしょう。

高須幹弥医師は「病院という狭い空間」を問題視

高須幹弥医師は10月17日、自身のYouTubeで一連の騒動を取り上げました。まず強調したのは、不適切な行為をするのはごく一部であり、大多数の看護師は患者のために真面目に働いているということです。

そのうえで、病院内の独特な力関係が、一部の人の意識をゆがめる可能性を語りました。

「世話してあげている」が勘違いに変わるとき

手術直後や集中治療室などでは、患者が自由に動けず、医療従事者に身の回りのことを頼る場面があります。

高須医師は、こうした関係が続くうちに、一部の人が自分のほうが偉いと勘違いする危険性を指摘しました。医師についても、周囲から「先生」と呼ばれ続けることで思い上がる人がいると話しています。

専門知識があることと、人として上の立場にいることは違います。患者の弱い立場を理解するはずの仕事で、その境界が曖昧になるのは皮肉なことです。

注意すると辞めてしまう? 人手不足の影響

高須医師は、問題行動を見かけても上司が注意しにくい職場のあり方にも触れています。人手不足のなかで、厳しく指導すれば退職されるかもしれないという懸念が働くのではないか、という見方です。

ただし、今回の3病院で実際に上司が事前に問題を把握し、黙認していたという事実は確認されていません。あくまで職場一般についての考察として受け止める必要があります。

なぜSNSに載せてしまう? 仲間内の笑いが危険な理由

今回の問題には、仲間内の悪ノリが外へ漏れ出す構図も見えます。自分たちだけが見るつもりで撮った動画でも、誰かが保存したり転送したりすれば、あっという間に拡散しかねません。

とはいえ、問題の本質は拡散したことだけではありません。患者の姿を許可なく撮り、からかう材料にした時点で、すでに尊厳が傷つけられています。

高須医師は、飲食店などで従業員が不適切な行動を投稿する「バイトテロ」にも通じると指摘しました。病院では患者が自分の病状や身体を預けているだけに、いっそう慎重さが求められます。

昔より増えたのか、それとも見えるようになったのか

高須医師は、問題のある人は昔からいたものの、SNSがなかった時代には表面化しにくかったのではないかとも語っています。

確かに、今は不適切な言動が動画として残り、外部に伝わる機会が増えました。ただし、発覚が相次いだからといって、看護師による不適切行為そのものが増加したとまでは言えません。

患者を守るために必要なこと

再発防止には、私物スマートフォンの使用ルールや、業務上必要な撮影の手順を明確にすることが欠かせません。不適切な行為を目撃した職員が、上司や相談窓口に安心して伝えられる体制も重要です。

何より忘れたくないのは、医療従事者にとってのいつもの病室が、患者にとっては人生で最も心細い場所かもしれないということです。

多くの看護師が真剣に働いているからこそ、一部の行為で医療現場全体への信頼が揺らぐのは残念です。個人を処分して終わりにせず、患者の尊厳をどう守るかを考える必要があるでしょう。

参考情報

共同通信:千葉西総合病院の処分報道
ユーチュラ:高須幹弥医師の発言と3病院の事案

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