大谷翔平選手の元通訳・水原一平氏による不正送金事件では、長年近くで支えてきた二人の関係にも注目が集まりました。
ただ、親しかったことと、相手の賭博や借金を把握していたことは別です。米司法省が公表したのは、水原氏が大谷選手の承諾なく口座から資金を移したという事実でした。
この記事では、米司法省の発表を中心に、送金の仕組みと判決、報道を読む際に区別したい点を整理します。
大谷翔平と水原一平の事件で確認されたこと
水原氏は、エンゼルス、続いてドジャースで大谷選手の通訳を務めていました。通訳以外にも、移動や野球以外の用事で大谷選手を支える仕事を担っていたと米司法省は説明しています。
その立場を利用したことが、事件の背景にありました。
2025年2月6日の米司法省発表によると、水原氏は違法な賭博業者に対する自身の借金を返済するため、大谷選手の銀行口座から約1,700万ドルを無断で移しました。
同発表は、大谷選手を事件の被害者として扱っています。二人が長く一緒に働いていたという事情だけで、大谷選手が送金を認めていたと考えることはできません。
水原氏はどうやって送金を隠していたのか
銀行からの連絡先を変更
米司法省によると、水原氏は2018年、大谷選手が米国で給与を受け取るための口座を開設する際に通訳を担当しました。
その後、口座にログインし、大谷選手の認識や許可なく、登録されていたメールアドレスと電話番号を変更しました。銀行が送金を確認しようとすると、大谷選手本人ではなく水原氏に連絡が届く状態にしていたのです。
大谷選手になりすまして銀行に電話
水原氏は銀行員に対して大谷選手本人を装い、送金を承認させていました。米司法省の発表では、そのような電話は約24回に及んだとされています。
また、大谷選手の代理人や資産管理を担当する人たちが口座へのアクセスを求めると、水原氏は大谷選手が非公開を望んでいるという趣旨の虚偽の説明をしていたといいます。
ここで大切なのは、誰が誰を信頼していたかという印象だけでなく、登録情報の変更や銀行への電話といった具体的な行為です。日常生活で距離が近かったからといって、口座への操作まで把握できるとは限りません。
判決は禁錮57か月|推測と捜査結果を分けて読む
水原氏は2024年6月、銀行詐欺と虚偽の税務申告について有罪を認めました。2025年2月6日には、禁錮57か月、つまり4年9か月の判決を受けています。
大谷選手への賠償として命じられた金額は1,697万5,010ドルでした。これは判決で命じられた金額であり、実際に全額が返済されたという意味ではありません。
事件についてはSNSでさまざまな見方が語られました。しかし、個人の想像や創作を、本人の発言や捜査で確認された事実と同じように扱うことはできません。
「長年一緒にいたから知っていたはず」という印象だけでは、認識の有無を判断する根拠にはなりません。公表された捜査結果から読み取れるのは、水原氏が大谷選手の承諾を得ず、送金を隠すための行動を取っていたことです。
事件を振り返る際は、憶測を重ねるよりも、いつ、誰が、何を公表したのかを確かめることが重要です。
