2016年、横浜市の旧大口病院で患者の点滴に消毒液が混入され、3人が死亡した事件。逮捕された元看護師・久保木愛弓は現在どうなっているのでしょうか。
結論からいうと、2024年7月4日付で無期懲役が確定しています。2026年10月時点で、収容先や刑務所内での生活について確認できる公的な発表はありません。
久保木愛弓の現在は?無期懲役が確定
久保木愛弓は2018年7月に逮捕され、3件の殺人罪と5件の殺人予備罪で起訴されました。
2021年11月9日、横浜地裁は無期懲役を言い渡しました。検察側は死刑を求刑していたため、判決は大きな注目を集めました。
検察側と弁護側の双方が控訴しましたが、2024年6月19日、東京高裁は双方の控訴を棄却。その後、上告されず、同年7月4日付で無期懲役が確定しています。
無期懲役は刑期の終わりがあらかじめ決められていない刑です。ただし、法律上は一定の条件を満たせば仮釈放の制度があります。「必ず一生出られない」とも「一定年数で出所できる」とも断定できません。
大口病院事件の経緯は?
事件の舞台は、神奈川県横浜市神奈川区の旧大口病院。終末期の患者も入院していた病棟で、2016年9月、患者の点滴に異常が見つかりました。
患者の死亡をきっかけに点滴を調べると、消毒液の成分が検出され、警察が捜査を開始。のちに、病院で看護師として勤務していた久保木が逮捕されました。
裁判で問われたのは、患者3人の点滴に消毒液を混入して死亡させた殺人3件と、別の点滴袋に混入した殺人予備5件です。
「48人死亡」は48人が殺害されたという意味ではない
当時、同じ病棟で約3か月間に48人が死亡していたことも報じられました。久保木が捜査段階で「20人くらい」と供述したという報道もあります。
ただし、48人全員の死因が事件によるものと証明されたわけではありません。裁判で殺人として有罪認定されたのは3件です。
報道された死亡者数、本人の供述、裁判で認定された犯罪の件数は、区別して理解する必要があります。
なぜ死刑ではなく無期懲役だった?犯行動機と判決
裁判で久保木は、勤務中に患者が亡くなり、遺族への説明や対応をすることを避けたかったという趣旨の動機を語りました。
検察側は、看護師の立場を利用した計画的な連続殺人として死刑を求刑。一方、弁護側は犯行当時の精神状態が影響したと主張しました。
横浜地裁は完全責任能力を認めたうえで、犯行に至る動機形成の過程や更生可能性などを考慮し、無期懲役を選択しました。
2024年の東京高裁も、3人が殺害された結果の重大さや計画性から死刑も十分考えられると指摘。しかし、一審の量刑判断を不合理とはいえないとして支持しました。
つまり、精神状態を理由に刑事責任が否定されたわけではありません。被害の重大さを踏まえつつ、死刑を選ぶべきか慎重に判断された結果です。
まとめ
大口病院事件の元看護師・久保木愛弓は、2024年7月に無期懲役が確定しました。現在の収容先や生活状況は確認できません。
事件では3人の殺人と5件の殺人予備が裁判で認定されています。病棟で48人が死亡したという報道を、48人が殺害されたという確定事実と混同しないことが大切です。
医療を受ける患者の安全を守る仕組みについて、今も考えさせられる事件です。
