渋谷などの街中に現れ、体操着やブルマ、レオタード姿で独特の踊りを披露する「ブルマおじさん」。最近TikTokなどで知った人には謎の人物に見えますが、実はかなり昔から知られている人です。
本人はXで「赤いレオタードでおまるにまたがります(@omaru_uwabaki)」として活動。本人の過去投稿によると、少なくとも2010年には渋谷を現在につながるスタイルで歩いていました。
さらに過去の投稿をたどると、子どものころから抱いていたバレエへの憧れや「人とつながりたい」という思いも語っています。一方、「妻や娘を亡くしたことがきっかけ」という噂には、確認できる根拠がありません。
ブルマおじさんは何者?実は2010年には渋谷を歩いていた
「ブルマおじさん」「レオタードおじさん」などと呼ばれている男性は、Xで「赤いレオタードでおまるにまたがります(@omaru_uwabaki)」として活動している人物です。
本名や正確な年齢、現在の職業など詳しいプロフィールは公表されていません。
最近のTikTokで初めて見た人もいると思いますが、突然現れた人物ではありません。
本人は2016年4月11日、過去の写真とともに「2010年の夏に渋谷を散歩していたときの画像をみつけました」と投稿しています。
つまり、少なくとも2010年には渋谷を歩いており、2026年まで数えると15年以上にわたって同様の活動を続けていることになります。
現在のXアカウントは2012年6月から利用しており、2026年10月時点でも更新されています。フォロワーは約8万人です。
2013年にはすでにネットニュースになる有名人に
ブルマおじさんの存在が広く知られるようになったのが2013年です。
本人は同年6月14日に「今からこの服装で出かけます。新百合ヶ丘でおまるにまたがります」と投稿。6月21日には赤いレオタード、白タイツ、上履き姿で新宿を散歩すると予告していました。
そして6月30日、ピンク色のレオタード姿で町田に登場。大勢の人が集まり、「レオタード」が当時のTwitterのトレンドワードに入るほど注目されました。
翌日のねとらぼは、本人について新宿や渋谷などで以前から目撃情報があった人物と紹介。この騒動をきっかけにTwitterのフォロワーが1万人を超えたとも報じています。
その後も活動は続き、2013年8月には街中で「アンパンマンのマーチ」に合わせてオリジナルの体操を披露した動画も公開しました。
渋谷だけでなくさまざまな街に登場
長年活動しているだけに、目撃されてきた場所も一つではありません。
本人の過去投稿では渋谷、新宿、原宿、新百合ヶ丘、町田、登戸など、東京・神奈川を中心にさまざまな街へ出かけています。
ただし「毎日街を歩いている」と確認できる情報はありません。長い年月にわたって活動しているため、目撃情報が多くなっていると考えるのが自然でしょう。
ブルマおじさんはなぜ踊る?本人が語っていた過去
見た目のインパクト以上に気になるのが「なぜこのような活動をしているのか」という点です。
本人は活動の理由を一言で説明しているわけではありません。しかし過去のXには、現在の姿を考えるうえで興味深い言葉が残っています。
子どものころからバレエをやりたかった
2014年11月15日、本人は子どものころにバレエをやりたかったものの、その願いはかなわなかったと明かしています。
大人になってからバレエを習ったものの、思うように踊れるようにはならず、大きな失望を経験したとも振り返っています。
そして直後の投稿で、本人は「バレエを踊れるようになりたいという望み」と「人とつながりたいという望み」が自分の中にずっとあったことに気付いたと綴っています。
ブルマおじさんというと奇抜な格好ばかりに目が向きますが、本人にとってバレエは以前から大きな意味を持つものだったことが分かります。
人との関係を築くことが難しかったとも告白
同じ2014年11月15日には、子どものころから他人と関係を築くことが難しかったことも本人が明かしています。
表情や声のトーン、言葉と感情表現がうまく合わず、人と交流しようとするとトラブルにつながることがあったという内容です。
さらに2022年5月には高校時代を振り返り、帰宅部で「悲しくて寂しい青春でした」と投稿。もしやり直せるなら運動部に所属したかったとも語っています。
こうした本人の言葉を並べると、子どものころにできなかったことや、人とのつながりへの思いを長く抱えてきたことはうかがえます。
ただし、これらがそのまま「ブルマやレオタード姿で街へ出る理由」だと本人が説明しているわけではありません。現在の活動との因果関係までは断定しないほうがよいでしょう。
妻や娘を亡くしたという噂は本当?
ブルマおじさんについて検索すると、時折見かけるのが「妻や娘を亡くした悲しみから現在の格好をするようになった」という話です。
しかし、本人が妻や娘を亡くしたと明かした投稿や、それを裏付ける信頼できる報道は確認できませんでした。
本人が実際に語ってきたバレエへの憧れや人とのつながりについての話とも内容が異なります。
では、なぜこのような噂が生まれたのでしょうか。
「亡くなった妻のため」という話は2013年には存在
この噂をたどると、最近のTikTokやXから始まった話ではないことが分かります。
ブルマおじさんが町田で注目された直後の2013年7月2日に立てられたネット掲示板では、すでに「亡くなった奥さんのためにレオタードを着ている」と受け取れる書き込みがありました。
ところが同じ掲示板には、「死期が近い妻を笑わせるためにチュチュを着て世界各地で写真を撮っている外国人男性の話ではないか」という指摘も書き込まれています。
実際、当時世界的に知られていた「チュチュを着る男性」の別のエピソードが存在します。
「The Tutu Project」と混同された可能性も
アメリカの写真家ボブ・キャリーさんは、ピンク色のチュチュを身につけた自分自身の写真をさまざまな場所で撮影する「The Tutu Project」で知られています。
妻のリンダさんが乳がんと診断された後、ボブさんのユーモラスな写真は妻を笑顔にする意味も持つようになり、その後は乳がん患者を支援する活動へ発展しました。
レオタードやチュチュ姿の男性という見た目の共通点があるため、この話とブルマおじさんのエピソードが混同された可能性は考えられます。
ただし、これが噂の発生源だと証明できる資料はありません。あくまで2013年当時、同じ掲示板内ですでに別人の話との混同を指摘する人がいた、というところまでが確認できる事実です。
また、ボブ・キャリーさんの話も「亡くなった妻のため」という内容ではありません。The Tutu Projectの公式サイトによると、妻リンダさんの乳がん診断をきっかけに活動が大きな意味を持つようになったというものです。
そのため、ブルマおじさんについて語られる「妻や娘を亡くした」という話は、現時点では事実として扱わないほうがよいでしょう。
町田では警察が来る騒ぎになったことも
長い活動の中では、警察が登場する騒ぎになったこともありました。
特に知られているのが2013年6月30日の町田です。
当時のねとらぼやガジェット通信は、町田駅前に現れた本人の周囲に人が集まり、最終的に警察に連れて行かれた様子を報じています。
ただし、本人が逮捕されたと確認できる報道はありません。ガジェット通信も当時、逮捕ではなく注意や任意同行ではないかというネット上の推測を紹介するにとどまっていました。
その後も本人は活動を続けています。2015年には登戸駅、2018年には原宿などを訪れた投稿も残っており、2026年現在も本人のXは更新されています。
最近TikTokなどでブルマおじさんを知った人にとっては、突然現れた謎のおじさんに見えるかもしれません。しかし実際には2010年の渋谷での写真が本人の投稿に残り、2013年にはすでにネットニュースになるほど知られた存在でした。
そして本人が語ってきたのは、妻や娘を亡くしたというドラマチックな噂ではなく、子どものころからのバレエへの憧れや、人とつながりたいという思いです。
奇抜な姿だけでなく、長年発信してきた本人の言葉までたどってみると、「昔から有名なおじさん」というだけでは分からない一面が見えてきます。
