水原一平さんは、大谷翔平選手の元通訳として、言葉の橋渡しだけでなく練習や移動、日常生活まで支えていた人物です。2024年の不正送金事件によってその評価は一変しましたが、それ以前は「通訳の仕事を超えている」と注目されていました。
実際にはどんな役割を担っていたのでしょうか。本人の連載や当時の取材、米司法省の資料から、かつての仕事ぶりと事件の経緯を分けて振り返ります。
水原一平のすごかったところ10選!通訳以外にも幅広い仕事
①キャッチボールの相手
水原さんは試合前などに大谷選手のキャッチボール相手を務めていました。専属通訳でありながら、日常の練習を直接手伝っていたのです。
②トレーニング動画の撮影
2019年のスポニチ連載では、練習を動画で撮影していたことを本人が説明しています。フォームや動きを振り返るための映像を残す裏方の仕事でした。
③トレーニング内容の記録
同じ連載では、その日に行ったメニューや回数、重量をメモし、練習後に大谷選手へ送っていたことも明かしています。単なる撮影係ではなく、記録をまとめる役割もありました。
④ピッチングマシンへの球入れ
大谷選手が右肘の手術後に取り組んだ、球を目で追う「トラッキング」練習では、水原さんがピッチングマシンにボールを入れていました。本人によると、大谷選手は何千球ものボールを見ていたそうです。
⑤ホームランダービーで捕手
2021年のMLBホームランダービーでは、大谷選手の捕手役を務めました。水原さんは捕手として座っているだけだと冗談交じりに話していましたが、世界的な舞台に通訳が捕手として登場したことは珍しい出来事でした。
⑥試合中の通訳とマウンドでの意思疎通
監督やコーチ、チームメートとの会話を通訳し、必要に応じてマウンド上でも意思疎通を支えていました。野球の専門用語や試合状況を理解する必要がある仕事です。
⑦対戦相手の情報確認を補助
当時のテレビ報道では、相手投手のデータ確認を手伝う姿も紹介されました。ただし、水原さんが球団の専門分析担当者だったという意味ではありません。
⑧運転手として移動をサポート
球場や打ち合わせなどへの移動を運転手として支えていました。米司法省の資料にも、大谷選手が球団からの給与とは別に、運転や野球以外の通訳業務に対して水原さんへ報酬を支払っていたと記されています。
⑨買い物や食事の注文も担当
2019年、大谷選手が左膝の手術を受けた後には、買い物や食事の注文を手伝っていたとスポニチ記者が報じています。Uber Eatsでの注文も含め、生活面にまで関わっていました。
⑩球団から「最優秀通訳賞」
2021年11月にはエンゼルスがSNSで「Most Valuable Interpreter(最優秀通訳)」として水原さんを紹介しました。MLBの正式な年間表彰ではなく、球団が独自に設けたユーモアのある賞でしたが、当時の親しまれ方を示しています。
なぜ大谷翔平から信頼されていた?日本ハム時代からの関係
水原さんは1984年12月31日生まれ、北海道出身。幼少期に米国へ移り、2013年から2017年まで北海道日本ハムファイターズで外国人選手らの通訳を務めました。大谷選手も2013年に日本ハムへ入団しています。
当時は大谷選手の専属通訳ではありませんでしたが、同じ球団で5年間を過ごしました。2018年に大谷選手がエンゼルスへ移籍すると、水原さんも渡米して専属通訳となります。
2021年11月の記者会見で、大谷選手は特に世話になった人として水原さんを挙げました。長年の付き合いに加え、練習から日常生活まで一緒に過ごす時間が長かったことが、当時の信頼関係につながっていたと考えられます。
2023年のWBCでも水原さんは日本代表の通訳として活動し、ラーズ・ヌートバー選手らとのコミュニケーションを支えました。球団の外でも通訳経験を生かしていたのです。
水原一平の現在と事件|信頼を悪用した不正送金
2024年3月、不正送金問題が発覚し、水原さんはドジャースを解雇されました。その後、銀行詐欺と虚偽の納税申告の罪を認め、2025年2月に米連邦裁判所で禁錮57か月(4年9か月)の判決を受けました。
米司法省が発表した大谷選手への賠償命令額は1,697万5,010ドル。2025年には収監されており、2026年10月時点で確認できる米司法省の資料でも服役中とされています。
通訳の立場がなぜ不正に利用されたのか
米司法省によると、水原さんは2018年に大谷選手の銀行口座開設を通訳として手伝っていました。後に口座の連絡先を無断で変更し、銀行への電話で大谷選手本人になりすますなどして送金を繰り返しました。
大谷選手の代理人や財務担当者から口座の確認を求められた際にも、本人がアクセスを望んでいないなどと説明し、不正を隠していました。
捜査当局は、大谷選手が違法賭博や不正送金を認識していたことを示す証拠はないと説明しています。
つまり、かつて水原さんが担っていた仕事の幅広さは事実ですが、その立場を利用した犯罪もまた事実です。以前の仕事ぶりを評価することと、犯罪を正当化することは別の問題として考える必要があります。
水原一平さんの過去を振り返ると、トップアスリートのそばで働く通訳には、言葉を訳す以上の役割があることが分かります。一方で、信頼が大きいほど金銭管理や権限の分離が重要になることも、この事件は示しました。
