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ジャニー喜多川氏の死去後に何が変わった?旧ジャニーズと芸能界7年の変化

ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏が2019年7月に亡くなってから、日本の男性アイドル界と芸能界を取り巻く環境は大きく変わりました。

経営陣の交代、滝沢秀明氏の退社、性加害問題の本格的な表面化、「ジャニーズ」という名称の消滅、STARTO ENTERTAINMENTの始動。そして変化は事務所だけにとどまらず、テレビ局と芸能事務所の関係や、タレントの働き方を改めて考えるきっかけにもなっています。

ジャニー氏の死去から2026年まで、旧ジャニーズ事務所と芸能界で何が起きたのか。大きな転換点を時系列で整理します。

目次

ジャニー喜多川氏の死去後、事務所はどう変わった?

ジャニー喜多川氏が亡くなったのは2019年7月9日。87歳でした。

長年にわたり所属タレントの発掘・育成や舞台演出などに大きな影響力を持っていた創業者を失い、事務所は新しい経営体制へ移っていきます。

2019年:ジャニー氏死去と新体制

2019年9月、藤島ジュリー景子氏が代表取締役社長、滝沢秀明氏が取締役副社長となる新体制が発表されました。

滝沢氏はジャニーズJr.の育成やプロデュースを担うジャニーズアイランドの代表取締役も務め、次世代の育成に深く関わりました。

この段階では、後に起きるような「ジャニーズ」という名称そのものの廃止や、会社機能の大規模な再編にまでは至っていませんでした。

2021年:メリー喜多川氏も死去

2021年8月14日には、ジャニー氏の姉で長く事務所経営を支えた藤島メリー泰子氏も93歳で亡くなりました。

ジャニー氏が主にタレントの発掘・育成や演出を担い、メリー氏が経営面から事務所を支えてきた創業世代の時代は、ここで大きな区切りを迎えます。

2022年:滝沢秀明氏が退社

さらに大きな転換点となったのが滝沢秀明氏の退社です。

滝沢氏は2022年10月末、ジャニーズアイランド代表取締役やグループ会社役員を退任し、事務所を離れました。ジャニーズアイランドの後任社長には井ノ原快彦さんが就任しています。

滝沢氏はその後TOBEを設立。平野紫耀さん、神宮寺勇太さん、岸優太さんによるNumber_iなど、旧ジャニーズに所属していたタレントも新天地で活動するようになりました。

ただし、ジャニー氏の死去と滝沢氏の退社を直接的な因果関係で結び付けられる公式な根拠はありません。別々の出来事として見る必要があります。

問題は2023年に突然始まったわけではない

事務所の歴史を大きく変えたのは、2019年のジャニー氏死去だけではありません。決定的な転換点となったのが、2023年に性加害問題が本格的に表面化したことでした。

ただし、ジャニー氏をめぐる問題が2023年に初めて指摘されたわけではありません。

1999年から週刊文春が性加害疑惑を報道し、ジャニー氏とジャニーズ事務所は文藝春秋側を提訴しました。裁判では一部報道について真実性が認められ、2004年に最高裁が事務所側の上告を棄却したことで判決が確定しています。

それでも当時、この問題がテレビ業界や事務所の体制を大きく変える動きにはつながりませんでした。

2023年以降にテレビ局自身が行った検証でも、過去の週刊誌報道や裁判を十分に取り上げなかったことが検証対象となっています。

カウアン・オカモト氏の会見と外部調査

2023年にはBBCによるドキュメンタリーの放送などをきっかけに、ジャニー氏による性加害問題への注目が改めて高まりました。

同年4月12日には元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が日本外国特派員協会で記者会見を開き、自身が受けたとする被害について証言しました。

その後、事務所は外部専門家による再発防止特別チームを設置。同チームは2023年8月に調査報告書を公表し、ジャニー氏による長期間にわたる性加害を認定しました。

さらに同族経営によるガバナンス不全など、組織側の問題も指摘されています。

2023年「ジャニーズ事務所」の名称が消滅

2023年9月7日、ジャニーズ事務所は会見を開き、藤島ジュリー景子氏が社長を退任し、東山紀之さんが代表取締役社長に就任しました。

さらに10月2日の会見では「ジャニーズ」という名称から決別する方針を発表。同年10月17日、株式会社ジャニーズ事務所は株式会社SMILE-UP.へ社名を変更しました。

1962年の創業以来、60年以上にわたって使われてきた「ジャニーズ事務所」という名称がなくなったのです。

法人そのものが消滅したのではなく、従来の会社がSMILE-UP.へ社名を変更し、被害者への補償を中心に担う会社へ移行した、というのが正確です。

当時の会見では記者の「NGリスト」をめぐる問題も起きました。経緯についてはジャニーズ会見のNGリストを扱った記事でもまとめています。

また、藤島ジュリー氏が10月2日の会見を欠席し、手紙で自身の考えを伝えた経緯は藤島ジュリー景子氏の会見欠席についての記事で詳しく紹介しています。

STARTO誕生でタレントと事務所の関係も変化

所属タレントのマネジメントを担う新会社として設立されたのがSTARTO ENTERTAINMENTです。

STARTOは2024年4月10日に本格的な業務を開始。公式発表では、SMILE-UP.とは資本関係を全く持たない会社として発足し、当初28組295人のタレントと契約したとされています。

つまり、かつて一つのジャニーズ事務所が担っていた機能は、被害補償を進めるSMILE-UP.と、芸能活動のマネジメントを担うSTARTO ENTERTAINMENTに分かれた形です。

独立や別の事務所という選択肢も目立つように

この時期にはタレント側の動きも活発になりました。

岡田准一さんは2023年11月末で退所。旧事務所は岡田さんの決断について「故ジャニー喜多川性加害問題に起因」すると公式に説明しています。

ほかにも独立や新たな契約形態を選ぶタレントが相次ぎました。

もちろん、芸能界全体では以前から独立や移籍はありました。しかし、国内最大級の男性アイドル事務所で大規模な再編が起きたことで、「一つの事務所に長く所属し続ける」という従来のイメージが変わる契機の一つになったと考えることもできそうです。

変わったのは事務所だけではなくテレビ業界だった

ジャニー氏をめぐる問題でもう一つ重要なのが、テレビ局側の変化です。

2023年以降、複数のテレビ局が「なぜ過去に問題を十分報道できなかったのか」「旧ジャニーズ事務所との関係は適切だったのか」といった自己検証を行いました。

TBSは、ジャニー氏の性加害について2023年4月まで報じてこなかった背景を検証。報道・制作・編成を経験した社員や元社員80人以上へのヒアリングを行い、その後、TBSホールディングス、TBSテレビ、TBSラジオによる全社的な調査結果も公表しました。

日本テレビなど他局も過去の報道姿勢や旧事務所との関係を検証しています。

これは単なる芸能ニュースではありませんでした。人気タレントを抱える大手芸能事務所とテレビ局がどのような距離感で付き合うべきなのか、報道機関として芸能事務所の問題をどこまで検証できるのかが改めて問われた出来事です。

1999年から報道があり、2004年には裁判も確定していたにもかかわらず、大きな変化につながらなかった過去まで含めて各局が振り返ったことは、2023年以前との大きな違いと言えます。

2026年現在、旧ジャニーズはどうなっている?

2026年現在、かつてのジャニーズ事務所と同じ形の芸能事務所は存在していません。

  • SMILE-UP.:故ジャニー喜多川氏による性加害の被害補償を継続
  • STARTO ENTERTAINMENT:タレントのマネジメントや育成などを担当
  • 独立した元所属タレント:個人事務所などで活動
  • TOBEなど:旧ジャニーズ出身者が所属する新たな芸能プロダクションも登場

SMILE-UP.によると、2026年9月15日時点で補償申告は累計1047人。被害者救済委員会から補償内容を通知された587人のうち580人が内容に同意し、578人への支払いを終えたとしています。

ここで注意したいのは、「1047人」という数字は補償を申告した人数であり、1047人全員について被害認定されたことを意味する数字ではない点です。

一方のSTARTOは、タレントやジュニア向けの外部通報窓口を設けるなど、ガバナンス・コンプライアンス体制の整備を進めていることを公表しています。

ジャニー氏の死後7年で変わったもの

振り返ると、2019年からの変化は一直線に起きたわけではありません。

ジャニー氏死去→メリー氏死去→滝沢氏退社→性加害問題の本格的な表面化→経営陣交代→「ジャニーズ」の名称廃止→SMILE-UP.とSTARTOへの機能分離と、複数の出来事が重なっています。

そのため「ジャニー氏が亡くなったからジャニーズ事務所がなくなった」と単純に結論付けることはできません。

一方で、絶対的な存在だった創業者がいなくなった2019年を起点に、その後7年間で長年続いた組織の形が大きく変わったのも事実です。

さらに2023年の性加害問題をめぐる一連の動きは、一芸能事務所の問題にとどまらず、テレビ局と芸能事務所の関係、人権やコンプライアンス、タレントの所属や独立のあり方まで改めて問い直す契機となりました。

「ジャニーズ」という名前はなくなりましたが、そこで育ったタレントやアイドル文化まで消えたわけではありません。STARTOで活動する人、独立する人、新しい事務所で挑戦する人。それぞれが異なる道を歩む現在の姿も、この7年間で起きた大きな変化の一つと言えそうです。

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