和田アキ子のレコ大「白い菊事件」は嫌がらせ?昭和芸能界の闇と真相

1972年の日本レコード大賞で、和田アキ子さんが受け取った花束は白い菊だった――。半世紀近くたった2019年、本人がテレビで語ったエピソードが大きな話題になりました。葬儀を連想させる花だけに、誰かが嫌がらせで用意したのでは、という疑惑まで浮上。しかし当時の映像をめぐっては、ほかの受賞者も菊の花束を持っていたとの指摘があります。いったい何があったのでしょうか。

目次

1972年のレコ大で和田アキ子に渡された白い菊の花束

舞台は1972年12月31日の第14回日本レコード大賞。和田アキ子さんは「あの鐘を鳴らすのはあなた」で最優秀歌唱賞に輝きました。大賞は「喝采」のちあきなおみさん。日本作曲家協会の公式記録にも、和田さんが受賞の瞬間から涙を流し、そばにいた沢田研二さんをステージへ引っ張り上げたという印象的な場面が残っています。

ところが、和田さんがそのステージで抱えていたのは、白い菊を中心とした花束でした。お祝いの場で白い菊と聞くと、今でも驚く人は少なくないでしょう。

この話が改めて注目されたのは2019年8月30日放送のTBS系『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』。過去の映像を見ていた和田さんは「これ見て、菊だよ」と指摘しました。

和田さんによると、受賞時は感激で花束のことまで気が回らず、後で母親から「なんで菊の花を持ってたの?」と聞かれて気づいたそうです。生放送中の出来事だったことから、番組では関係者による嫌がらせではないかという話になりました。

中居正広さんに誰の仕業なのか尋ねられた和田さんは、具体的な名前を挙げず「関係者ですよ。だって生放送だし」と発言。長年第一線に立ってきた和田さんが語るには、あまりにも後味の悪い思い出です。

本当に嫌がらせ?ほかの受賞者の花束にも菊があった

ただし、この事件には見逃せない別の視点があります。1972年の最優秀新人賞は麻丘めぐみさんでした。ネット上には、麻丘さんらほかの受賞者の花束にも菊が使われていたのではないか、という指摘があります。ただし、今回参照できた公式受賞記録には花束の種類は記載されておらず、映像を通じた比較検証も完了していません。

もし複数の受賞者に菊が使われていたなら、和田さんだけを狙って花束をすり替えた、という説明には疑問が残ります。実際、当時の菊がすべて葬儀専用の花だったわけでもありません。菊は品種や色、組み合わせによって観賞用や贈答用にも使われる花です。

とはいえ、ほかの受賞者の花束が似ていたというだけで、和田さんへの嫌がらせがなかったと断定することもできません。花束の発注記録やスタッフの証言など、誰がどのように準備したかを示す資料までは確認できていないからです。

つまり、報道で裏付けられるのは「和田さんが白い菊を中心とする花束を持って歌い、後年それを不自然な出来事として振り返った」ということ。誰かが意図的にすり替えたかどうかは、別の問題なのです。

当時の映像を見返すなら、和田さんだけでなく、同じ年の受賞者が持つ花束にも注目したいところ。事件の印象が少し変わるかもしれません。

昭和芸能界の闇?和田アキ子が語った新人時代のいじめ

白い菊の話が強烈なのは、和田さんが新人時代に受けたという嫌がらせの告白と重なるからでしょう。

2019年の同番組で和田さんは、身長が高かったことを理由に先輩の女性歌手から男性扱いされた経験を明かしています。楽屋で「男がいると着替えられない」と言われたほか、大きな靴をからかわれ、靴に悪口を書かれたこともあったそうです。

さらに顔に勝手にメイクをされたという話まで登場しました。今なら職場でのハラスメントとして問題になりそうな出来事です。

当時の和田さんは、1968年にデビューし、1970年の「笑って許して」で注目を集めた若手歌手。1972年の最優秀歌唱賞は、その実力を大きく認められた瞬間でもありました。だからこそ、晴れ舞台での花束を本人が不審に感じたことには、それまでの体験も影響していたのかもしれません。

もっとも、新人時代のいじめとレコ大の花束が同じ人物やグループによるものだったと示す根拠はありません。ネットでは先輩歌手の名前を挙げる書き込みも見られますが、憶測だけで犯人扱いするのは避けたいところです。

昭和の芸能界には厳しい上下関係があったと語られる一方、当時の出来事をすべて「闇」の一言で片づけてしまうと、本当の事情が見えなくなります。花束ひとつにも、本人の記憶、番組での演出、時代による花のイメージの違いが重なっている可能性があります。

白い菊事件の真相は?本人の記憶と映像を分けて考えたい

和田アキ子さんが1972年のレコ大で白い菊を中心とした花束を持っていたこと、そして2019年に本人が嫌がらせを疑う発言をしたことは、当時の報道で確認できます。

一方で、花束が誰かにすり替えられたという経緯までは確定していません。ほかの受賞者にも菊が渡されていたというネット上の指摘はありますが、現段階では検証済みの事実として扱えません。

華やかな受賞の瞬間に、本人だけが後から違和感を覚えた白い花束。何十年も経って語られたからこそ、昭和芸能史の不思議なエピソードとして今も関心を集めるのでしょう。

関連記事:和田アキ子の障害者手帳4級はなぜ?/『アッコにおまかせ!』終了の理由

参考資料:日本作曲家協会・第14回日本レコード大賞、デイリースポーツ(2019年8月30日)、RBB TODAY(2019年8月31日)

  • URLをコピーしました!
目次