すき家がラーメンを始めた理由は?親会社の専門店と吉野家・松屋の買収戦略

牛丼チェーンのすき家が2026年6月4日に発売し、9月29日に再販売した「とん汁みそらーめん」。なぜ牛丼屋がラーメンを始めたのか、気になった人も多いのではないでしょうか。

直接の理由は、牛丼と一緒に楽しめる食べ応えのある「第三の汁物」を作るためでした。さらに、すき家の親会社・ゼンショーは以前から「伝丸」などのラーメン専門店を展開しています。吉野家や松屋が進める企業買収との違いも整理します。

目次

すき家がラーメンを始めた理由は「第三の汁物」の開発

すき家が「とん汁みそらーめん」を発売した直接の理由は、牛丼との相性を考えた新しいサイドメニューの開発です。

2026年9月29日公開のマイナビニュースの開発担当者インタビュー(タイアップ記事)によると、みそ汁・とん汁に続く、満足感のある「第三の汁物」を目指したといいます。

主役はあくまで牛丼。単品のラーメンとして味を強くするのではなく、牛丼を邪魔しない味のバランスが重視されました。

なぜ「とん汁みそらーめん」なのか

新メニューは、すき家で親しまれているとん汁に麺と特製タレを組み合わせています。従来のメニューを生かした、すき家ならではのラーメンです。

初登場は2026年6月4日。期間限定で販売され、9月29日からは麺を改良して再販売されました。再販売にあたっては、牛丼との組み合わせを強調したプロモーションも展開されています。

既存食材の活用は店舗運営上の利点につながる可能性がありますが、原価削減こそが開発目的だったと公式に説明されているわけではありません。

すき家の親会社ゼンショーはラーメン店を持っている?

実は、すき家の親会社であるゼンショーホールディングスは、今回初めてラーメン事業に取り組んだわけではありません。

グループは「伝丸」「壱鵠堂」「威風」「天下一」などのラーメンブランドを展開しています。伝丸などでは味噌ラーメンを中心とした商品も提供しています。

少なくとも2011年以前からラーメン事業を展開

ゼンショーの2011年の会社分割に関する資料には、「伝丸その他のラーメン業態」が記載されています。少なくとも2026年の「とん汁みそらーめん」発売より15年以上前から、グループにはラーメン事業があったことが分かります。

2024年3月期の有価証券報告書でも、グループ会社がラーメンブランドを展開していることが確認できます。

ただし、今回のすき家の商品開発に「伝丸」などのスタッフが直接関与したり、専門店のレシピを流用したりしたという公式情報は確認できません。親会社がラーメン店を運営している事実と、新商品の開発経緯は区別する必要があります。

吉野家と松屋はラーメン会社を買収!3社の戦略の違い

すき家が牛丼店のサイドメニューとしてラーメンを開発した一方、吉野家と松屋は専門店ブランドの買収を通じてラーメン事業の拡大を進めています。

吉野家は「せたが屋」を買収しラーメンを成長事業に

吉野家ホールディングスは2016年に人気ラーメンブランド「せたが屋」を展開する企業の株式を取得しました。さらにラーメン関連企業への投資を重ね、事業基盤を広げています。

2025~2029年度中期経営計画では、ラーメン事業の売上高について2024年度の80億円から2029年度には400億円を目指す方針を示しました。400億円は実績ではなく目標です。

吉野家にとってラーメンは、牛丼店の追加メニューというより、グループ全体で育てる独立した成長事業といえそうです。

松屋は「六厘舎」「舎鈴」の運営会社を買収

松屋フーズホールディングスは2025年12月15日、「六厘舎」「舎鈴」などを展開する松富士の全株式取得に向けた契約を発表しました。取得価額は91億円で、2026年1月5日に子会社化を完了しています。

松富士グループは2025年11月末時点で9ブランド・120店舗を展開していました。松屋自身も2025年7月にラーメン新業態「松太郎」を出店しており、自社開発と企業買収の両方を進めています。

こうした動きは、牛めしやとんかつに続く収益の柱を育てるという経営方針と重なります。

牛丼3社を比較すると

  • すき家:牛丼と合わせるサイドメニューとして「とん汁みそらーめん」を開発。親会社は以前から別ブランドのラーメン専門店を展開。
  • 吉野家:せたが屋などへの投資を重ね、ラーメン事業を中長期の成長分野として拡大。
  • 松屋:ラーメン新業態の自社開発に加え、六厘舎・舎鈴を展開する松富士を買収。

「すき家だけがラーメン事業を持っていなかった」という理解は正しくありません。ただし、今回の新商品が専門店の買収によって生まれたという発表もありません。

なぜ今、牛丼チェーンはラーメンに力を入れるのか

各社の戦略には、牛丼以外の収益源を増やすという共通点があります。ラーメン専門店は独立したブランドとして国内外に店舗を広げる余地があり、商品開発や物流などで既存の外食事業との相乗効果も期待できます。

実際、松屋フーズは買収発表で、原材料費・人件費・エネルギーコストの上昇といった厳しい経営環境に言及しています。ただし、こうした業界全体の事情が、すき家の「とん汁みそらーめん」を開発した直接の理由だと断定することはできません。

すき家のラーメンは定番化する?

2026年10月時点で「とん汁みそらーめん」は期間限定商品として案内されています。発売後に再販売され、麺の改良も加えられたことから、一定の需要があったことはうかがえます。

一方、通年販売や新たなラーメンの全国展開については、正式な計画を確認できませんでした。

すき家は「牛丼に合うラーメン」、吉野家と松屋は「ラーメン専門店を事業の柱にする動き」と、それぞれ異なる特徴があります。今後、すき家のラーメンが定番メニューになるのか、各社の専門店事業がどこまで広がるのかにも注目したいですね。

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