Mrs. GREEN APPLEの「ア・ポステリオリ」は、聴くだけでも難しいと話題の一曲です。
理由は、一般的なJ-POPのように「1・2・3・4」と数え続けられない変拍子。さらに、2018年の「ア・プリオリ」と対になるタイトルにも注目が集まっています。
なぜこれほど複雑な曲になったのでしょうか。演奏の特徴と、8年を隔てた2曲の関係を整理します。
「ア・ポステリオリ」はなぜ難しい?変拍子の仕組み
「ア・ポステリオリ」は、2026年9月30日発売のアルバム『POPS』収録曲です。音楽メディアでも、弾くだけでなく聴くのも難しい変拍子の楽曲として紹介されています。
5拍子を軸にリズムが揺れる
多くのポップスは4拍子を基本にしています。ところがこの曲は、5拍子を中心に拍子の感覚が切り替わる複雑な作りが特徴です。
4拍子なら「1・2・3・4」と自然に体を動かせますが、5拍子では「1・2・3・4・5」と数える必要があります。慣れたところで別のリズムに移ると、次の拍の位置を見失いやすくなるのです。
ただし、曲の全小節が5拍子という意味ではありません。具体的な拍子の区切りは分析方法によって捉え方が異なるため、単純に「ずっと5拍子」と覚えない方が正確です。
演奏するメンバーにも難曲
2026年10月に公開された公式の「MV Behind the Scenes」では、大森元貴さんに加え、ギターの若井滉斗さん、キーボードの藤澤涼架さんらが制作を振り返っています。
若井さんと藤澤さんが複雑なリズムをどのように演奏へ落とし込んだのかも、この映像の見どころ。変拍子は聴く側だけでなく、演奏する側にも集中力を求めます。
歌うときも拍を機械的に数えるより、原曲の伴奏と歌の入りを一緒に覚える方が取り組みやすいでしょう。
「ア・プリオリ」との関係は?タイトルが対になっている
実は「ア・ポステリオリ」というタイトルには、8年前の楽曲との明確なつながりがあります。
2018年8月発売のシングル『青と夏』に収録された「ア・プリオリ」です。
先天的と後天的、正反対の言葉
ア・プリオリ(a priori)とア・ポステリオリ(a posteriori)は、哲学で使われるラテン語由来の対概念です。
- ア・プリオリ:経験に先立つ、経験に依存しない認識
- ア・ポステリオリ:経験を通じて得られる、経験に基づく認識
音楽メディアではわかりやすく「先天的」「後天的」とも説明されています。ただし、哲学的には単純に「生まれつき」と「成長後」の違いだけを指す言葉ではありません。
2018年と2026年。8年という時間を隔てて、この正反対のタイトルを並べたこと自体が興味深いところです。
「ア・ポステリオリ」は「ア・プリオリ」の続編?
タイトルが対になっていることは、アルバム発売時の報道でも明示されています。一方、物語として直接つながる「公式の続編」と断定するのは慎重であるべきでしょう。
むしろ面白いのは、両曲を並べて聴くことで、人間を見る視点や言葉の響きの違いを感じ取れることです。
「ア・プリオリ」には他者への苛立ちや不信感、自分自身の矛盾を思わせる表現があります。「ア・ポステリオリ」も、人間の弱さや複雑さを考えさせる内容です。
経験する前の認識と、経験を重ねた後の認識。タイトルの意味を手がかりに聴き比べると、歌詞の解釈が広がります。
ただし、これは歌詞を比較した読み方の一つ。大森さんが2曲の全フレーズを一対一で対応させたと公表したわけではありません。
8年間の変化をどう聴く?
2018年のミセスと、2026年のミセスでは、活動の規模もサウンドの表現も大きく変化しています。
だからこそ、過去曲を知っている人にとって「ア・ポステリオリ」は単独の新曲以上の意味を持つのでしょう。
曲名を手がかりに、昔の「ア・プリオリ」をもう一度再生してみる。そんな楽しみ方ができるのも、この曲ならではです。
MVも異例!地上波で流せない理由とは
「ア・ポステリオリ」のMVは、2026年9月30日に公式YouTubeで公開されました。
CGを使わず、照明の明滅とカメラワークで光と影を表現。メンバーの演奏を正面から見せる、緊張感のある映像です。
終盤の激しい光の点滅は、光感受性発作のリスクを評価するハーディングチェックの基準に抵触し、公開されたMVは地上波でオンエアできないと報じられています。
これは「曲そのものがテレビで歌えない」という話ではありません。あくまでMVの映像に関する制約です。
光の点滅に敏感な方は、視聴時に注意してください。
「ア・ポステリオリ」公式MV
制作舞台裏の映像も公開
10月6日には、公式YouTubeで「MV Behind the Scenes」も公開されています。大森さんやメンバー、スタッフへのインタビューを通して、映像と楽曲の作り方を知ることができます。
複雑な演奏がどう組み立てられたのか気になる人は、MV本編とあわせてチェックしてみてください。
まとめ:難しさと8年越しの対比が魅力
「ア・ポステリオリ」が難しい理由は、5拍子を軸にした複雑な変拍子と、簡単には予測できないリズムの流れにあります。
そして2018年の「ア・プリオリ」と対になるタイトルも、見逃せないポイントです。
まずはリズムの不思議さを楽しみ、次に2曲の歌詞を聴き比べてみる。そうすると、難解に感じた新曲が少し違って聞こえるかもしれません。