2026年10月17日の箱根駅伝予選会。テレビに映る先頭集団を見て、「外国人選手がずいぶん多いな」と驚いた人もいたのではないでしょうか。
実際、個人上位10人のうち7人が外国人留学生でした。しかし、箱根駅伝は留学生を何人でも走らせられる大会ではありません。出走できるのは1大学につき1人までです。
では、今回の予選会には何人の留学生が出ていたのでしょうか。大会の公式記録とルールを確認しながら、大学が留学生を起用する理由や、競技の公平性をめぐる議論を整理します。
2026年の箱根駅伝予選会で留学生が上位を席巻
第103回箱根駅伝予選会は、2026年10月17日に東京・立川で開催されました。45校が参加し、各校の上位10人の合計タイムで2027年1月の本大会への出場権を争いました。
個人1位は山梨学院大学のブライアン・キビエゴ選手で、記録は1時間00分48秒。2位に東京国際大学のリチャード・エティーリ選手、3位に武蔵野学院大学のビニアム・テスファイゼラツィオン選手が続きました。
日本人トップは東洋大学の宮崎優選手で4位。さらに5位、6位、8位、9位にも留学生が入り、上位10人中7人を占めています。
ただし、これはあくまで「個人上位10人の内訳」です。大会全体で何人の留学生が出走したかを示す数字ではありません。
大会には45校が参加しましたが、すべての大学が留学生を起用したわけではありません。全出走者の国籍や在留資格を公式記録だけから一律に判定することはできないため、今回の留学生総出走人数は未確定とします。
公式の全記録は関東学生陸上競技連盟の大会ページで確認できます。
外国人留学生は1大学何人まで出場できる?
箱根駅伝では、外国人留学生のエントリーは1チーム2人以内、実際に走れるのは1人以内という制限があります。予選会でも、複数の留学生を同時に走らせることはできません。
ここで気をつけたいのが、「外国籍の学生」と「大会規約上の外国人留学生」は必ずしも同じ意味ではないことです。人数を数える際にも、名前や見た目だけで判断してはいけません。
大学が留学生を迎える理由は、もちろん競技力の強化が大きいでしょう。世界水準の走力を持つ選手と練習できることは、日本人選手にとっても刺激になります。
一方、選手を獲得できる大学とできない大学の間に戦力差が生まれるのでは、という指摘もあります。ただ、優秀な日本人選手の勧誘や練習環境にも大学ごとの差はあります。留学生だけを取り出して不公平と断定するのは簡単ではありません。
留学生が速くても予選突破できるとは限らない
今回、最も象徴的だったのは東京国際大学でしょう。
エティーリ選手は個人2位の好走を見せましたが、チームは15位。予選通過の上位10校には届きませんでした。
一方、トップ通過したのは東洋大学。日本人トップの宮崎選手をはじめ、チーム全体で安定した走りを見せました。山梨学院大学は個人1位のキビエゴ選手を擁し、総合6位で本大会出場を決めています。
予選会は1人のタイムではなく、10人の合計で決まります。突出したエースがいても、残る選手が続かなければ通過は難しいのです。
「留学生がいる大学が必ず有利」という単純な話ではないことが、今回の結果からも見えてきます。
外国人留学生が多いことは問題なのか
この問題を考えるとき、まず分けたいのが「留学生の活躍」と「大会制度の公平性」です。
日本の大学に入学し、日々練習を積んでいる留学生も、同じチームの学生アスリートです。外国出身という理由だけで活躍を問題視するのは適切ではありません。
一方、大学駅伝の魅力をどう守るのか、選手の出場機会をどう確保するのかは、主催者が議論してよいテーマでしょう。留学生本人への学業・生活面の支援や、卒業後の進路も重要です。
「日本人選手が育たなくなる」という意見もありますが、留学生の起用が日本人選手の成長を妨げると一概には言えません。むしろ高いレベルで競い合うことが成長につながる場合も考えられます。
高校駅伝や他のスポーツにも外国人枠はある?
外国人留学生の起用をめぐるルールは、競技によって異なります。
全国高校駅伝では2024年から留学生が走れる区間を短い3km区間に限定しました。男子は2区または5区、女子は3区または4区です。留学生が長い区間で大差をつけることへの議論も、見直しの背景にありました。
大学バスケットボールにも外国籍選手の出場に関する大会ごとのルールがあります。また、ラグビーでは国籍と代表資格が必ずしも一致せず、一定の条件を満たした外国出身選手が日本代表になることがあります。
ただし、高校駅伝、大学駅伝、プロリーグ、国際大会では制度の目的が違います。すべてを同じ「外国人枠の問題」として扱うことはできません。
まとめ|留学生の人数だけでは見えない箱根駅伝の実力差
2026年の箱根駅伝予選会では、個人上位10人中7人を外国人留学生が占めました。テレビ中継で留学生の存在感が際立ったのは確かです。
しかし、出走枠は各大学1人まで。さらに、個人2位の選手を擁した東京国際大学が予選落ちするなど、留学生1人の力だけでは結果が決まらないことも分かりました。
速い選手をどう生かし、チーム全体をどう育てるか。国籍にかかわらず、そこが駅伝の面白さなのかもしれません。
大会の様子は日本テレビ公式の予選会ダイジェストでも見ることができます。
