フジテレビがドラマに生成AI導入!俳優の仕事はどうなる?

フジテレビがドラマ制作への生成AI導入を本格化させると発表しました。2027年10月をめどに、同局が制作するすべてのドラマでAIを活用できる体制を整える方針です。

「俳優もAIになるの?」「ドラマの制作費が大幅に下がるの?」と気になった人も多いのではないでしょうか。

実は、2026年10月スタートの『救命病棟24時』では、すでにAIで作られた映像が使われています。どのシーンなのか、俳優やスタッフの仕事にどんな影響があるのか、フジテレビの公式発表をもとに整理します。

目次

フジテレビは2027年からドラマをすべてAIで作る?

まず押さえておきたいのは、すべてのドラマをAIだけで制作するという発表ではないことです。

フジテレビは2026年7月に「AIセンター」を新設。9月からは湾岸スタジオで、ドラマ制作部門や技術部門、AI関連企業が参加する実験プロジェクト「AI Sandbox」を運用しています。

現在、フジテレビが地上波のゴールデン・プライム帯で制作する連続ドラマは年間16本。実写撮影、CG、VFX(視覚効果)に生成AIを加え、作品や場面に合った手法を選ぶ考えです。

2027年10月までに目指すのは、こうした選択肢をすべてのドラマ制作で使えるようにすること。俳優もセットも丸ごとAIに置き換える、という意味ではありません。

『救命病棟24時』のどのシーンにAIが使われた?

具体例として公表されたのが、2026年10月12日に始まった月9ドラマ『救命病棟24時』第6シリーズです。

江口洋介さんと松嶋菜々子さんが再集結した人気医療ドラマで、第1話の爆発事故を上空から見たような映像に生成AIが使われました。

爆発事故の空撮風景は実在しない街

フジテレビによると、この空撮風景は実際に撮影した街ではなく、AIが生成した架空の風景。そこに煙を合成して、事故現場の様子を表現しています。

言われなければ実写だと思って見ていた人もいそうですよね。

大規模な事故現場を撮影するには、場所の確保や安全対策、映像処理など多くの準備が必要です。AIで一部の映像を作れるようになれば、これまで難しかった演出にも挑戦しやすくなります。

撮影前のイメージ共有にもAIを活用

AIの役割は完成映像だけではありません。『救命病棟24時』では、監督が思い描く場面を撮影前に画像や映像として可視化し、制作・技術スタッフが共有しています。

医療シーンの細かな映像処理にもAIを取り入れているそうです。

フジテレビの足立遼太朗プロデューサーは、特に災害シーンや海外設定のシーンで映像の仕上がりに手応えを感じていると説明しています。

生成AI導入で俳優の仕事はなくなるの?

今回の発表で、最も気になるのは俳優への影響かもしれません。

ただ、フジテレビが説明しているのは、主に撮影準備や映像表現にAIを取り入れる取り組みです。俳優の演技を全面的にAIへ置き換える計画は発表されていません。

『救命病棟24時』でも、江口洋介さんや松嶋菜々子さんたちが実際に演じ、その周囲の映像表現にAIが加わっています。

とはいえ、今後も影響がまったくないとは限りません。人物や背景を生成する技術が進めば、エキストラの映像や再現シーンなど、仕事の進め方が変わる場面も考えられます。

一方、人物の顔や声をAIで再現する場合は、本人の同意や権利の扱いも重要になります。技術的に作れることと、作品に使ってよいことは別の話です。

演技の魅力や役者同士の掛け合いまで、単純に作業効率だけで測れるものではありません。今後どこまでAIを使うのか、制作側の判断にも注目したいところです。

工数70〜80%削減は本当?ドラマの制作費も下がる?

フジテレビの検証では、生成AIを活用した一部の映像制作工程で、従来の手法と比べて作業工数を最大70〜80%削減できたといいます。

かなり大きな数字ですが、ドラマ全体の制作費が80%安くなったわけではありません。

これは特定工程での検証結果で、ドラマ全体の平均的な工数削減率でもないと、公式発表で明記されています。

俳優の出演料やロケ、セット、衣装、編集など、ドラマ制作にはさまざまな費用がかかります。AI導入で全体の予算がどの程度変わるのかは、今後の運用を見ていく必要があります。

また、工数削減がそのまま人員削減につながるという発表もありません。浮いた時間を別の演出や仕上げに使うことも考えられます。

フジテレビがAIを導入する理由は?

目的は制作の効率化だけではありません。

フジテレビは、撮影場所や天候、法令、安全面などの制約で実現が難しいシーンにも対応し、映像表現の幅を広げたいと説明しています。

「AI Sandbox」の技術統括を務める真崎晋哉氏も、従来のVFXなどと組み合わせ、作品に合った方法をスタッフと考える姿勢を示しています。

つまり、AIにドラマを丸投げするのではなく、制作現場の道具を一つ増やすイメージです。

予算や時間の制約で諦めていたシーンが実現するなら、視聴者にとっても楽しみが増えるかもしれません。ただし、映像が豪華になることと、物語が面白くなることはまた別。そこは人間の企画力や演出力が問われそうです。

2027年以降、フジテレビのドラマはどう変わる?

フジテレビは2026年10月期から、毎クール1本以上を「AI強化枠」に設定して制作現場で検証を進めています。

その経験を社内で共有し、2027年10月をめどにすべての自社制作ドラマでAIを活用できる体制を整える予定です。

さらに、フジ・メディア・ホールディングス傘下の映像関連企業にも取り組みを広げ、2029年度にはグループ全体のAI活用能力を高める目標を掲げています。

今後、ドラマの中で「これもAIだったの?」と驚くシーンが増えるかもしれません。

ただ、見ている側が本当に知りたいのは、AIを使ったかどうかより、その作品が面白かったかどうか。新しい技術がドラマの魅力をどう広げてくれるのか、これからの作品が楽しみです。

テレビ番組でのAI活用例をもっと知りたい方は、テレビ番組の生成AI使用例と俳優への影響をまとめた記事もどうぞ。

※2026年11月5日のフジテレビ公式発表をもとに構成しています。

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