GMOインターネットグループの熊谷正寿代表が、X(旧Twitter)への投稿をめぐって批判を集めました。
きっかけは、グループ会社が提供する「お名前.com デスクトップクラウド」で発生した不正アクセス事件。顧客情報の流出やFX取引に関係する被害が問題となるなか、笑顔の自撮り写真や陸上部への「爆笑」という返信が物議を醸したのです。
11月2日の記者会見ではSNSでの言動を謝罪しましたが、今度は「命の砂時計」という独特の表現が話題に。何が起き、どの投稿が問題になったのか、順を追って振り返ります。
熊谷社長のSNSはなぜ炎上した?問題になった3つの言動
今回批判を集めたのは、主に笑顔の写真、陸上部への返信、そして被害者に関係する情報を取り上げた投稿です。
10月27日:国際刑事警察機構への相談を笑顔の写真で報告
熊谷代表は10月27日、事件について国際刑事警察機構(ICPO、INTERPOL)にも相談したとXに投稿しました。
ただ、添えられていたのはICPOのロゴを背景にした笑顔の自撮り写真。被害者が不安を抱える状況だったため、SNSでは写真の選び方を疑問視する声が広がりました。
10月28日:東京大学での講義後にも笑顔の写真
翌28日には、予定していた東京大学での講義を行ったと報告。東大の看板の横で笑う写真も投稿しました。
講義そのものではなく、不正アクセスへの対応中に笑顔の写真を続けて公開したことが批判の対象となりました。
陸上部への「爆笑」コメントも物議
GMOインターネットグループの陸上部への影響を心配する投稿に対しては、「爆笑」という言葉を使って返信。陸上部には影響がないことを伝える趣旨でしたが、顧客に被害が生じている状況での表現として不適切ではないかと受け止められました。
さらに熊谷代表は、被害者の家族構成に関わる投稿をリポストしたことについても、後の会見で判断ミスだったと認めています。
10月29日に謝罪した理由は?写真に込めた意図も説明
批判を受けた熊谷代表は10月29日、Xで謝罪しました。
11月2日の会見では、笑顔の写真には攻撃者からの脅迫に屈しない姿勢を示す意図があったと説明しています。
ただし、本人が込めた意味と、被害者が受け取る印象は別のもの。熊谷代表も配慮不足を認め、陸上部への返信や被害者に関係する投稿について改めて謝罪しました。
そもそもGMOの不正アクセス事件で何があった?
事件が起きたのは、FXの自動売買などにも使われる仮想サーバーサービス「お名前.com デスクトップクラウド」です。
11月2日の会見によると、攻撃者は8月5日に顧客のサーバー環境へ侵入し、8月17日には管理者権限を悪用して管理サーバーに侵入。その後、9月20日から10月14日にかけて顧客の仮想サーバーへマルウェアを配布しました。
対象となり得た仮想サーバーは最大2万6,739VM。これは実際に情報流出や金銭被害が確認された人数を示す数字ではありません。
会社側が不正アクセスを把握したのは10月20日。顧客からの問い合わせをきっかけに調査し、翌21日に問題を公表しました。
さらに会見では、2024年にグループ内のセキュリティ専門家からシステム上の課題を指摘されていたことも明らかになりました。熊谷代表は、その指摘をサービス運営に生かせなかったと認めています。
11月2日の謝罪会見では何を語った?
熊谷代表は会見冒頭、顧客の情報が流出し、資産に被害が生じたことについて謝罪しました。
また、笑顔の写真や陸上部へのコメント、被害者に関係する情報への言及についても、被害者の気持ちへの配慮が欠けていたと説明しています。
会見では、直接的なFX取引上の損害を全額補償する方針も示されました。二次被害については引き続き検討するとしています。
経営責任として、熊谷代表を含む役員4人の報酬を3か月間、最大30%減額することも発表されました。
「命の砂時計」とは?会見で話題になった言葉の意味
会見中、熊谷代表が何度も口にしたのが「命の砂時計」という言葉でした。
これは今回初めて使った表現ではありません。熊谷代表は以前から、限りある人生の時間を夢のために使うという考えをこの言葉で表してきました。
しかし、被害者への説明が求められる会見で繰り返されたため、Xでは言葉の意味や会見での使い方をめぐってさまざまな反応が出ました。
熊谷代表は個人のXについて、会見の総括を投稿した後、一定期間休止する意向も示しています。
熊谷社長は辞任する?今後の焦点は被害補償と再発防止
11月2日の会見では進退についても質問がありましたが、熊谷代表は辞任の有無を明言しませんでした。
今回の騒動ではSNSの言葉遣いに注目が集まりましたが、事件そのものには、長期間不正アクセスを検知できなかったことや、過去のセキュリティ上の指摘が十分に生かされなかったという問題もあります。
利用者への補償がどのように進み、再発防止策がどこまで具体化されるのか。今後はその対応が問われます。
なお、11月2日の会見で熊谷代表が涙を見せた場面や発言については、GMO熊谷社長はなぜ泣いた?謝罪会見の涙の理由とSNS炎上を解説でも詳しくまとめています。