昔のちびまる子ちゃんは毒舌すぎ?さくらももこのブラックな笑い

日曜夕方の定番アニメ『ちびまる子ちゃん』。家族で安心して見られる作品というイメージがありますが、昔の原作を読み返すと「あれ、まる子ってこんなに毒舌だったっけ?」と驚くことがあります。

まる子は怠け者で、ずる賢くて、ときには家族にも容赦がありません。でも、そこが面白いんですよね。

実はこの辛口の笑い、作者・さくらももこさんのエッセイや『コジコジ』にも通じる作風です。初期の『ちびまる子ちゃん』が持っていた、ちょっとブラックな魅力を振り返ります。

目次

昔のちびまる子ちゃんはなぜ毒舌だった?

『ちびまる子ちゃん』は1986年、少女漫画誌『りぼん』で連載が始まりました。テレビアニメが始まったのは1990年です。

主人公は小学3年生のまる子。勉強より遊びが好きで、面倒なことはできれば避けたいタイプ。失敗して反省したかと思えば、また同じようなことをやらかします。

この「ちっとも立派じゃない主人公」が、当時の少女漫画としても新鮮でした。まる子の言動には子どもらしい無邪気さだけでなく、損得勘定や見栄、嫉妬といった感情も描かれています。

しかも、そんなまる子をナレーションが冷静に突き放すことも。本人は大まじめなのに、読者は思わず笑ってしまう。そこが作品の持ち味です。

まる子だけじゃない!家族やクラスメートも結構辛口

優しい友蔵とちゃっかりしたまる子

まる子に甘いおじいちゃん・友蔵。孫をかわいがる姿は微笑ましいのですが、まる子がその優しさに甘えてしまう場面もあります。

祖父と孫の温かな関係を描きながら、子どものちゃっかりした部分まで隠さない。きれいごとだけでは終わらないのが、さくらももこ作品らしいところです。

永沢くんや藤木くんの微妙な人間関係

クラスメートたちも、全員が仲良しで優しいわけではありません。

永沢くんの皮肉っぽい言動や、藤木くんの臆病さをめぐるやり取りなど、大人になって見ると少しヒヤッとする場面もあります。

でも、小学生の集団って、案外こういうところがありましたよね。友達同士でも遠慮がなかったり、ちょっとしたことで気まずくなったり。その生々しさが、懐かしさにもつながっています。

さくらももこ本人の文章もかなり辛口だった

『ちびまる子ちゃん』の毒気をもっと味わいたいなら、さくらももこさんのエッセイは外せません。

1991年刊行の『もものかんづめ』には、アルバイト時代の出来事や家族との日常などが登場します。普通なら恥ずかしくて隠したくなるような失敗も、飾らずに笑い話にしてしまうのです。

続く『さるのこしかけ』には、痔に悩まされた体験や、台風と食中毒に見舞われた台湾旅行など、なかなか強烈な題材が並びます。

『たいのおかしら』でも、中学生時代の出来事や父ヒロシの話などを独特の視点で描いています。

題材だけを見ると、そんなことまで書くの?と思うものばかり。それでも読後感が重くなりすぎないのは、自分の情けなさも笑いに変える文章のうまさがあるからでしょう。

集英社が2022年に公開した担当編集者へのインタビューでも、ユーモアに少しの毒気が混ざった作風が、さくらももこさんの魅力として紹介されています。

『コジコジ』にも通じるブラックユーモア

さくらももこさんのもう一つの代表作『コジコジ』も、かわいらしい見た目だけで判断するとびっくりする作品です。

メルヘンな世界を舞台にしながら、会話には独特のナンセンスや皮肉がたっぷり。登場人物たちの常識が、コジコジの自由な言葉によってあっさり揺さぶられることもあります。

まる子が現実の人間くささを笑いにするなら、コジコジは当たり前だと思っている価値観そのものをひっくり返す面白さがあります。

どちらにも共通するのは、きれいな言葉で無理にまとめないところ。かわいい絵柄と鋭い視点のギャップこそ、さくらももこさんの魅力なのかもしれません。

昔と今のちびまる子ちゃんは何が違う?

初期の原作やアニメを思い出して「昔はもっとブラックだった」と感じる人がいる一方、現在のアニメにもまる子の怠け癖や、家族との口げんか、クラスメートとの気まずいやり取りは残っています。

昔は毒舌、今はほのぼの、と単純に分けられるものではありません。

ただ、原作を読むと、さくらももこさん自身の観察眼や語り口が、漫画の隅々にまで行き渡っていることに気づきます。テレビでおなじみのまる子とは、また違う味わいがあるんです。

原作40周年の2026年、初期のまる子を読み返したい

2026年は『ちびまる子ちゃん』の連載開始から40周年。公式にも記念企画が発表されています。

子どもの頃はまる子に共感していたのに、大人になって読むと母すみれやお姉ちゃんの気持ちがわかる。そんな楽しみ方ができるのも、長く愛される理由の一つでしょう。

『ちびまる子ちゃん』は、ただ優しいだけの家族漫画ではありません。人間のずるさや情けなさまで笑いに変えてしまう、さくらももこさんならではの作品です。

昔のまる子を知っている人も、最近のアニメしか見たことがない人も、原作の第1巻から読み返してみると、新しい発見がありそうです。

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