松田聖子さんの「青い珊瑚礁」、近藤真彦さんの「ギンギラギンにさりげなく」。日本ではおなじみの昭和のヒット曲が、韓国で改めて注目されています。
2026年には松田聖子さんと近藤真彦さんが相次いで韓国で初の単独コンサートを開催しました。
なぜ今、韓国で40年以上前の日本の曲が人気なのでしょうか。実は、K-POPアイドルのカバーだけではない、意外な背景がありました。
韓国で昭和歌謡が人気になったきっかけは?
近年の盛り上がりで大きな役割を果たしたのが、韓国MBNの音楽番組「韓日歌王戦」です。
2024年に放送されたこの番組では、日韓の歌手が歌唱力を競い、日本の昭和歌謡も披露されました。
住田愛子さんが近藤真彦さんの「ギンギラギンにさりげなく」を歌ったステージは、YouTubeで大きな反響を呼びました。韓国KBSは2024年9月時点で再生回数617万回突破と紹介し、2026年6月には約1400万回に迫ると報じられています。
また、NewJeansのハニさんが2024年6月の東京ドーム公演で松田聖子さんの「青い珊瑚礁」をカバーしたことも話題になりました。
韓国の聯合ニュースによると、同曲は2024年7月2日、現地の音楽配信サービスMelonのデイリーチャートで222位に入りました。
昭和の曲が、今の人気アイドルや若い歌手を通じて新しいリスナーに届いたのです。
理由① 韓国にはもともと昭和歌謡のファンがいた
実は、日本の昭和歌謡が韓国で知られるようになったのは最近のことではありません。
韓国ではかつて日本の大衆文化の流入が制限されていましたが、日本のレコードなどを通じて曲に親しむ人もいました。
日本の大衆文化は1998年以降、段階的に開放されています。
近藤真彦さんも、1981年発売の「ギンギラギンにさりげなく」が当時の韓国のローラースケート場で流れていたと振り返っています。
つまり、韓国では初めて聴く若者だけでなく、昔から曲を知っている世代もいるということ。
この2つの世代が同じ曲を楽しめるところに、今回の人気の面白さがあります。
理由② 韓国の「トロット」人気と相性がいい
もう一つ見逃せないのが、韓国で親しまれている大衆歌謡「トロット」です。
日本の演歌や歌謡曲とも通じる親しみやすさがあり、韓国では近年、若い歌手やテレビの歌唱番組を通じて幅広い世代に支持されています。
韓国の音楽事情を紹介する現地ライターも、トロットの人気やカラオケ文化が日本の昭和歌謡を受け入れる土台になっていると指摘しています。
覚えやすいメロディー、感情を込めやすい歌詞、みんなで口ずさめるサビ。
言葉が違っても、歌いたくなる曲には共通点があるのかもしれません。
理由③ K-POPアイドルのカバーで若者に広がった
昔の曲を今の人気アーティストが歌うと、ファンは原曲にも興味を持ちます。
その代表例がNewJeansのハニさんによる「青い珊瑚礁」です。
ハニさんのステージが注目され、松田聖子さん本人の歌唱映像を見たり、配信で曲を聴いたりする人も増えました。
2026年2月22日には松田さんが仁川のインスパイア・アリーナで初の韓国公演を開催。
韓国KBSによると、観客の半数以上は日本からのファンでしたが、韓国人観客の約6割は10〜30代だったそうです。
昔からの日本人ファンと、韓国で新たに曲を知った若者が一緒に盛り上がった公演だったんですね。
松田さんの韓国公演については、松田聖子が韓国で再ブレイクした理由とハニのカバーでも詳しく紹介しています。
近藤真彦は韓国で初コンサートを開催
近藤真彦さんも2026年6月27日、ソウルで初の単独コンサートを開催しました。
「スニーカーぶる〜す」「ブルージーンズメモリー」「愚か者」「ギンギラギンにさりげなく」など、アンコールを含め23曲を披露。
韓国の音楽番組への出演に加え、2025年には日本テレビ「THE MUSIC DAY」でK-POPグループのTWSと共演したことも話題になりました。
近藤さんの場合、かつて韓国で親しまれた曲が、住田愛子さんのカバーを通じてもう一度脚光を浴びた形です。
中森明菜やチェッカーズも人気?
韓国で名前が挙がるのは、松田聖子さんと近藤真彦さんだけではありません。
中森明菜さん、チェッカーズ、尾崎豊さん、テレサ・テンさんなどの楽曲も韓国で親しまれていると報じられています。
ただし、ここは少し整理しておきたいところ。
本人が韓国で単独コンサートを開いたケースと、過去の楽曲がカラオケや音楽番組で歌われているケースは違います。
全員が同じ規模で再ブレイクしているという話ではなく、さまざまな形で日本の昔の音楽が聴かれているということです。
NHKも昭和歌謡の韓国人気を特集していた
この現象は日本のテレビでも取り上げられました。
2025年1月6日放送のNHK「クローズアップ現代」では、韓国で日本の昭和歌謡が人気を集める背景を特集。
韓国の歌番組に出演する近藤真彦さんにも密着し、日本語の歌がテレビで放送されるようになった変化や、日韓の文化交流を紹介しました。
かつては日本の音楽が自由に紹介されにくかった韓国で、今はテレビ番組を通じて昭和の名曲が歌われている。
時代の変化を感じる話でもありますね。
昭和歌謡の韓国人気は一時的なブームで終わる?
SNSで昔の曲が話題になること自体は珍しくありません。
でも、松田聖子さんと近藤真彦さんの場合は、本人が韓国で初の単独公演を開くところまで広がりました。
一方で、韓国には以前から日本の歌謡曲を愛聴する人もいて、今回の人気は突然生まれたものではありません。
懐かしいと感じる世代と、新鮮に受け止める若い世代。その両方が同じ曲を楽しめることが、昭和歌謡の強みなのかもしれません。
日本では当たり前のように知っている名曲が、海を越えると新しいヒット曲になる。そんな音楽の面白さを感じさせる現象です。
