神奈川県川崎市にあった「向ヶ丘遊園」は、1927年に開園し、2002年3月31日に閉園した遊園地です。閉園から24年がたった2026年現在、跡地には温浴施設や商業施設などを整備する計画があります。ただし、かつての遊園地がそのまま復活するわけではありません。残された生田緑地ばら苑も現在は閉苑中。跡地の再開発、閉園理由、ばら苑の今後を公式資料から整理します。
向ヶ丘遊園の跡地は今?2026年の再開発計画
向ヶ丘遊園の跡地は、2026年10月現在、温浴施設・商業施設・自然体験施設などを整備する計画の対象地となっています。ただし、施設の開業日が確定したわけではありません。
小田急電鉄は2018年、「人と自然が回復しあう丘」をコンセプトに跡地利用計画を発表しました。旧遊園地の跡地を商業施設エリア、温浴施設エリア、自然体験エリアに分け、周辺の緑や文化施設とも連携する構想です。
川崎市が公開する開発事業の計画書では、対象区域は約16万2,400平方メートル。温浴施設の床面積は約7,500平方メートル、商業施設は約2,100平方メートルと記載されています。
当初は2023年度の完成を目指していましたが、そのスケジュールどおりには完成していません。2026年に紹介された計画では2030年3月までの工期が示されていますが、これは予定であり、完成・開業が確定した日付ではありません。
また、ホテルや駐車場などが報道・市政報告で紹介されていますが、最終的な施設構成については事業者の今後の発表を待つ必要があります。
川崎市の公表資料:向ヶ丘遊園跡地利用計画
新しいミュージアムもできる?
旧遊園地の周辺では、川崎市が新たなミュージアムの整備を計画しています。2019年の台風で被災した川崎市市民ミュージアムに代わる施設の整備事業です。
川崎市は2025年3月、ばら苑とその周辺の再整備エリアを新たなミュージアムの開設地に位置付け、小田急電鉄と通行ルートなどについて協議する覚書を締結しました。
ただし、小田急電鉄による跡地利用計画と、川崎市によるばら苑・ミュージアムの整備は別事業です。すべてが一度に開業するという発表ではありません。
向ヶ丘遊園はなぜ閉園した?75年の歴史
向ヶ丘遊園は小田急線の開通と同じ1927年に開園しました。多摩丘陵の自然を生かした遊園地として、長年にわたり親しまれてきました。
1958年には、後に名所となるばら苑も開苑。花と緑を楽しめる遊園地として知られるようになりました。
営業を終えたのは2002年3月31日。約75年の歴史に幕を下ろしました。
閉園理由は何だった?
遊園地を取り巻くレジャー環境の変化や、施設の運営・経営上の問題などが閉園の背景として考えられます。ただし、今回確認できた小田急電鉄の資料だけでは、特定の理由を唯一の原因として断定することはできません。
閉園後の2004年には、小田急電鉄と川崎市が跡地の自然環境を守りながら活用する方向で基本合意を結びました。
かつての乗り物や遊園地そのものを復活させるのではなく、自然や文化に触れられる場所として再生する考え方が、現在の計画にもつながっています。
生田緑地ばら苑は現在閉苑中!再開はいつ?
生田緑地ばら苑は2026年10月現在、再整備工事のため閉苑しており、当面の間、一般公開の予定はありません。公式サイトでも閉苑が案内されています。
ばら苑は1958年に開苑し、向ヶ丘遊園の閉園後も川崎市と市民ボランティアなどに支えられて存続してきました。春と秋の一般公開は、旧遊園地の面影を感じられる機会となっていました。
2025年秋にも10月16日から11月3日まで一般公開が行われ、その後、再整備に伴い閉苑しています。2025年度の来苑者は春秋合わせて8万9,623人と川崎市公園緑地協会が報告しています。
閉苑した理由と再整備の内容
川崎市によると、開設から60年以上が経過したことによる施設の老朽化や、バラのがん腫病の広がりなどが課題となっています。
さらに、新たなミュージアムの整備や周辺の土地利用計画も進むため、ばら苑と周辺区域を一体的に検討することになりました。
2026年9月1日には川崎市の再整備検討部会が開かれ、ばら苑の管理運営整備方針案について議論されています。同年9月30日にも市の検討状況ページが更新されました。
現時点で一般公開の再開日は正式に発表されていません。閉苑中も川崎市公園緑地協会がバラの維持管理を続けています。
最新の案内は生田緑地ばら苑公式サイトと川崎市の再整備検討状況で確認できます。
公式映像で見る、かつてのばら苑
生田緑地ばら苑の公式サイトには、2020年春にドローンで撮影された映像が掲載されています。再整備前のばら苑の広がりや周囲の緑を確認できる貴重な映像です。
※2020年に撮影された映像であり、2026年現在の工事状況を示すものではありません。
向ヶ丘遊園駅周辺のまちづくりも進行中
2026年7月、川崎市は「向ヶ丘遊園駅南側まちづくり方針」を策定しました。生田緑地の玄関口として、緑を感じられる駅前空間や、歩きやすさ、地域のにぎわいなどを目指すものです。
ただし、駅南側のまちづくりと、旧遊園地跡地の再開発は場所も事業内容も異なります。「駅前に遊園地が復活する」という意味ではありません。
遊園地の閉園から24年が経過しても、駅名には「向ヶ丘遊園」が残っています。かつて訪れた人にとって、その名前自体が思い出の一つかもしれません。
今後の注目点は、跡地の温浴・商業施設の具体的な開業時期、ばら苑の再開日、新たなミュージアムの整備スケジュールです。かつての遊園地とは異なる姿になっても、花と緑に親しめる場所として生まれ変わることが期待されます。
