「紅白を卒業します」「もう出ません」――。NHK紅白歌合戦をめぐって、自ら区切りをつけた歌手は意外に多くいます。
北島三郎さん、森進一さん、細川たかしさん、五木ひろしさん。2025年には郷ひろみさんも卒業を発表しました。一方で、一度身を引きながら紅白に戻ってきた歌手もいます。
誰がいつ勇退したのか。最初から出ないと宣言した人は? 本人の発言や当時の報道をもとに、落選との違いも含めて振り返ります。
紅白を勇退・卒業した歌手一覧
| 歌手 | 勇退表明 | その後 |
|---|---|---|
| 北島三郎 | 2013年 | 2018年に特別出演 |
| 森進一 | 2015年 | 48回連続出場で区切り |
| 細川たかし | 2016年 | 39回出場で勇退 |
| 五木ひろし | 2021年 | 50回連続出場後に表明 |
| 布施明 | 2009年 | 2025年に16年ぶり復帰 |
| 郷ひろみ | 2025年 | 38回目の出演で一区切り |
注目したいのは、同じ「卒業」でも理由や事情がまったく違うことです。
北島三郎|50回目で卒業したのに5年後に復帰
北島三郎さんは2013年、紅白出場50回を節目に勇退を発表しました。記者会見を開いて卒業を宣言したのは異例。最後は代表曲「まつり」で華やかに締めくくりました。
ところが2018年、特別企画で紅白に再登場。勇退は永久に出演しないという意味ではなかったのです。2018年の出演を含めた通算出場回数は51回となりました。
森進一|「紅白50回定年制」を提案した本人が48回で卒業
森進一さんは2014年、紅白出場50回を一つの区切りとする「定年制」を提案しました。しかし、この考えにはほかの歌手から異論も出て話題に。
翌2015年、森さんは50回を待たずに卒業を決断。48回連続出場で紅白を去りました。自分自身のけじめとして身を引いた形です。
細川たかし|40回目前で世代交代を意識
細川たかしさんが勇退を表明したのは2016年。紅白出場は39回で、あと1回で40回というところでした。
若い歌手に出場の機会を譲りたいという思いも語っており、ベテランが自ら舞台を離れる決断として注目されました。
五木ひろし|50回連続出場後に「終了」を宣言
五木ひろしさんは1971年から2020年まで50回連続で出場。2021年に紅白を「終了」する意向を表明しました。
ただし、当時はNHK側から不出場が伝えられていたとの報道もありました。本人の節目という説明だけでなく、番組の選考という事情も重なったケースです。
布施明|2009年に身を引き、2025年に16年ぶり復帰
布施明さんは2009年、紅白からいったん身を引く意向を示しました。若いポップス歌手に舞台を譲りたいという思いがあったとされています。
それから16年。2025年の紅白で復帰を果たしました。「卒業したらもう戻れない」というイメージを覆す出来事でした。
郷ひろみ|2025年、70歳で38回目の紅白を最後に
2025年12月29日、郷ひろみさんが同年の紅白を一区切りにすると発表しました。70歳という節目での決断です。
本人は、紅白が挑戦と成長の場だったことに感謝し、これからは若いアーティストを応援したいという思いを明かしました。ただし歌手活動を終えるわけではなく、これからも歌い続けると宣言しています。
最後の紅白では「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」を披露。会場を駆け回り、ほかの出演者とハイタッチを交わす、いかにも郷さんらしいステージになりました。
実は郷さん、1985年と2001年にも自らの意思で紅白を辞退し、その後1990年と2010年に復帰しています。今回が3度目の区切りというのも、興味深いところです。
参考:日刊スポーツ・郷ひろみの直筆発表/スポニチ・過去2度の辞退歴
紅白に「出ない」と宣言した有名人は?
勇退とは少し違い、紅白に出演しない姿勢を明確にしてきた歌手もいます。落選を機に卒業を発表したケースと分けて見ていきましょう。
松山千春|紅白に出ない姿勢を長年貫く
松山千春さんは、紅白に出るために歌手になったわけではないという考えを公言してきました。北海道で新年を迎えたいという思いも語っています。
紅白に出演することだけが歌手としての成功ではない。そんな姿勢が、松山さんらしいところかもしれません。
ももいろクローバーZ|2015年の落選後に卒業宣言
ももいろクローバーZは2012年に初出場し、2014年まで3年連続で出演。しかし2015年は選考から外れ、公式サイトで紅白からの卒業を表明しました。
その後は独自の年末イベントを展開し、2017年からは「ももいろ歌合戦」を開催。大みそかに自分たちの舞台をつくる方向へ進みました。
和田アキ子|落選のショックと自主的な勇退は別
和田アキ子さんは2015年まで39回出場しましたが、2016年に落選。40回を節目に卒業したいという思いもあっただけに、ショックは大きかったようです。
ただし、和田さんは自ら辞退して勇退したわけではありません。「紅白を卒業した人」の一覧に同列で並べると事情が伝わりにくいため、区別しておきたいところです。
紅白を卒業したら二度と出られない?
答えは「いいえ」です。北島三郎さんは2013年の勇退後、2018年に特別出演。布施明さんも2009年に身を引いてから2025年に復帰しました。
そもそも「紅白卒業」はNHKが定めた制度ではなく、歌手本人が一区切りを表すために使う言葉です。出場するかどうかはその年の選考や本人の意向によって変わります。
一方、落選したことと自ら辞退したことも同じではありません。出場しなくなったという結果は同じでも、その背景にはそれぞれの事情があります。
紅白の顔ぶれが変わっていく様子を知りたい方は、紅白歌合戦2025の出演者一覧や、中森明菜の2026年紅白出演の可能性もあわせてご覧ください。
まとめ|紅白を去る理由も、戻ってくる理由もさまざま
紅白から勇退した歌手には、北島三郎さん、森進一さん、細川たかしさん、五木ひろしさん、布施明さん、郷ひろみさんらがいます。松山千春さんのように出演しない姿勢を貫く人もいれば、ももクロのように落選後に卒業を宣言したグループもあります。
そして、一度卒業しても復帰の可能性はあります。何年もたって再び大みそかの舞台で歌う姿を見られるのも、歴史の長い紅白ならではの楽しみです。
