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市役所はなぜ土日祝休み?シフト制にできない理由を調査

「平日に働いている人が多いのに、なぜ市役所も土日祝休みなの?」という疑問がSNSで注目されています。利用する住民の立場からすると、土日に開いていた方が便利だと感じる人も多いでしょう。

市役所などが土日祝を基本的な休日としている背景には、地方自治法と各自治体の条例があります。ただし、法律で「土日に窓口を開けてはいけない」と決められているわけではありません。実際に休日窓口を設けている自治体もあります。

では、職員をシフト制にして土日も平日と同じように開庁することはできないのでしょうか。役所が土日祝休みになった仕組みと、休日開庁が限定的になっている事情を整理します。

目次

市役所はなぜ土日祝休み?地方自治法に休日のルールがある

市役所が土日祝を基本的な休日としている大きな理由は、地方自治法で地方公共団体の休日についてルールが定められているためです。

地方自治法第4条の2では「地方公共団体の休日は、条例で定める」としたうえで、休日として定める日を次のように規定しています。

  • 日曜日・土曜日
  • 国民の祝日に関する法律に規定する休日
  • 年末または年始のうち条例で定める日

つまり、単に「公務員だから土日休み」というだけではなく、法律に基づいて各自治体が条例で休日を定めています。

一方で、ここでいう「休日」は、土日に行政サービスを提供してはいけないという意味ではありません。後述するように、休日でも一部の窓口を開けている自治体はあります。

昔からすべての土曜日が休みだったわけではない

現在では土日休みが一般的ですが、市役所が昔から完全週休2日だったわけではありません。

1988年の地方自治法改正で地方公共団体の休日に関する第4条の2が新設され、当初は土曜日について段階的に閉庁する仕組みが導入されました。その後、1992年の改正によって土曜日を休日とする現在につながる制度が整えられています。

当時の政府答弁では、労働時間の短縮だけでなく、地方公共団体の行政が国や他の自治体とも密接に関連していること、住民の利便性や行政の円滑な運営を確保する必要があることなどが説明されています。

現在の土日閉庁は、昔から変わらない慣習というより、週休2日制の広がりと行政機関の運営を背景に定着してきたものといえます。

市役所を土日もシフト制にすることはできないの?

SNSでは「平日休みの職員と土日勤務の職員に分けて、シフト制にすればいいのでは?」という意見も見られます。

結論からいえば、土日に行政サービスを提供すること自体は可能です。実際に休日窓口を設けている自治体があります。

ただし、市役所の仕事は窓口にいる職員だけで完結するとは限りません。手続きによっては他部署や別の自治体、国の機関などへの確認が必要になることがあります。また、休日にはシステムメンテナンスなどによって、一部の手続きができない場合もあります。

休日開庁を全面的に増やす場合には、人員配置や勤務体系、システム運用なども含めて検討する必要があります。そのため、すべての業務を土日に行うのではなく、休日は取り扱う業務を限定している自治体もあります。

「職員を交代勤務にすれば平日と同じサービスを提供できる」とは限らないところが、一般的な店舗のシフト勤務とは少し違う点です。

実は土日に開いている市役所もある

「市役所=土日は完全に閉まっている」と思われがちですが、すでに休日開庁を行っている自治体があります。

例えば東京都品川区では、2026年10月現在、区役所本庁舎の一部窓口を第2・第4日曜日の午前8時30分から午後5時まで開設しています。戸籍・住民票などの証明書発行や届出の受付などが対象です。

さらに大井町駅にある「大井町サービスコーナー」は、平日は午前8時から午後7時、土曜日・日曜日は午前10時から午後3時まで開設されています。ただし祝日や年末年始は休業です。

サービスコーナーでは住民票や戸籍などの証明書を取得できますが、転入・転出など住所の異動や印鑑登録は取り扱っていません。

休日開庁の難しさが分かる例もあります。品川区の日曜開庁では、毎月第1・第3土曜日の翌日の日曜日は法務省のシステムメンテナンスに伴い、戸籍届出業務を休止しています。

また、本籍が品川区以外の場合などは他自治体への確認が必要になり、日曜日には証明書を即日発行できないケースもあると案内されています。

役所の建物と職員だけを動かせば、平日と同じ業務をすべて行えるわけではないことが分かります。

品川区は毎週日曜から「第2・第4日曜」に変更している

興味深いのは、品川区が休日開庁を単純に拡大しているわけではないことです。

品川区では以前、区役所の対象窓口を毎週日曜日に開設していましたが、2025年11月から原則として第2・第4日曜日の開庁へ変更しました。一方、マイナンバーカード特設会場は一部の日を除いて毎週日曜日、大井町・目黒のサービスコーナーは祝日を除く土日に引き続き開設されています。

つまり実際の自治体運営でも、「役所全体を土日も通常どおり開ける」という形ではなく、手続きや場所ごとに休日サービスを分ける方法が取られています。

土日開庁だけでなくオンライン化も進んでいる

役所を土日も全面的に開けることとは別の方法で、平日に窓口へ行けない人の不便を減らす取り組みも進んでいます。

代表的なのが、マイナンバーカードを使ったコンビニ交付です。

デジタル庁によると、対応している自治体では住民票の写し、印鑑登録証明書、各種税証明書、戸籍証明書などをコンビニなどのマルチコピー機から取得できます。

利用時間は原則として平日・土日祝とも午前6時30分から午後11時までです。ただし、取得できる証明書や利用時間は自治体によって異なります。

品川区でもコンビニ交付のほか、電子申請、火曜日の窓口延長、第2・第4日曜日の日曜開庁など、複数の方法が用意されています。

今後も「市役所を土日に開けるか、閉めるか」という二択だけではなく、窓口に行かなくても済む手続きを増やしつつ、対面が必要な手続きについて休日窓口を用意する形が重要になりそうです。

「利用者が休みの日に閉まっている」という疑問をどう考える?

「平日に働いている人が多いのに、なぜ役所も同じ日に開いて土日に閉まるのか」という疑問は、利用者側から見れば自然なものです。

一方、「公務員が土日に休みたいから閉めている」とだけ考えると実態とは異なります。地方公共団体の休日には法律と条例による仕組みがあり、行政手続きには他部署・他自治体・国の機関やシステムとの連携が必要になる場合があります。

それでも休日に行政サービスを提供できないわけではありません。品川区のように日曜開庁や土日のサービスコーナーを設けている自治体もあり、住民票などはコンビニで取得できる地域も増えています。

役所を毎週土日に全面開庁することだけが解決策ではありません。休日窓口、夜間窓口、コンビニ交付、オンライン申請を組み合わせ、「仕事を休まなくても必要な手続きを済ませられる環境」をどう整えるかが、住民にとってはより重要といえそうです。

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