スマホがあるのに電卓はなぜ売れる?需要が残る5つの理由

スマホにもパソコンにも計算機能があるのに、なぜ今も電卓を買う人がいるのでしょうか。2026年には約10万円の高級電卓まで完売し、話題になりました。

理由は、電卓が「計算できる機械」ではなく、仕事を速く正確に進めるための専用道具だからです。経理や会計、資格試験などでは、スマホにはない使いやすさが求められています。実際の販売動向とともに調べました。

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スマホが普及しても電卓は売れている?

カシオ計算機の担当者は2026年10月のオリコンニュースの取材で、スマホの普及によって電卓の売り上げが半減する可能性も心配していたと振り返っています。しかし実際には、想定ほど大きな落ち込みにはならず、同社の世界出荷台数は直近5年間でおおむね横ばいだったそうです。

ただし「電卓市場全体が成長している」という意味ではありません。メーカーごとの出荷動向と市場全体の数字は別物です。電卓と電子辞書を合わせた統計も、電卓単独の販売台数として扱うことはできません。

スマホに日常の計算を任せる人が増えても、専用電卓を必要とする人が一定数いる。これが現在の電卓市場を理解するポイントです。

電卓が使われ続ける5つの理由

1.ボタンを見なくても入力しやすい

スマホの電卓は画面上の数字をタップします。一方、専用電卓には物理的なキーがあり、指先で位置や押した感覚を確かめられます。

数字を何度も入力する仕事では、この差が意外と大きいもの。慣れた人なら書類を見ながら手元で入力できます。計算するたびに画面へ視線を移す必要がないのです。

2.パソコンの画面を切り替えずに済む

Excelで大量のデータを集計するなら、もちろんパソコンが便利です。しかし、請求書の金額をちょっと確かめたいときまで数式を作る必要はありません。

机の上に電卓があれば、パソコンの資料を表示したまま計算できます。スマホで別のアプリを開く手間もありません。仕事の途中でさっと使えることが強みです。

3.経理や会計向けの機能が充実している

専用電卓には、税計算やメモリー計算、入力内容の確認など、実務で役立つ機能を備えた製品があります。キーの配列や押し心地、表示の見やすさも、仕事道具として選ぶポイントです。

さらに、カシオは右手用・左手用で形状を工夫した人間工学電卓も展開しています。誰もが使う一般的なスマホアプリとは違い、特定の作業に合わせて細かく改良できるのが専用機の良さでしょう。

4.簿記などの資格試験で必要になる

電卓を購入するきっかけとして見逃せないのが資格試験です。日商簿記検定では、所定の条件を満たした電卓を使用できますが、スマートフォンの電卓機能は使用できません。

ただし、印刷機能やプログラム機能などを備えた電卓には制限があります。受験予定の人は、日本商工会議所の案内で使用条件を確認しておきたいところです。

試験勉強で使い慣れた電卓を、就職後も使い続ける。そんな流れも自然に考えられます。

5.通知も充電も気にせず計算できる

スマホにはSNSやメッセージなど、計算以外の機能が詰まっています。便利な反面、仕事中に通知が届いて集中が途切れることもあります。

電卓は計算するためだけの道具です。太陽電池を利用する機種なら、スマホのように毎日充電する必要もありません。「余計なことができない」という単純さも、実は魅力なのです。

約10万円の電卓が完売!高級モデルが売れた理由は?

電卓の需要を象徴するのが、カシオが2026年4月9日に発売した「S100X 漆Edition」です。価格は税込9万9,000円。世界限定650台で、国内販売分は約1か月半で完売しました。

このモデルは、カシオの高級電卓「S100X」に、福井県鯖江市の老舗越前漆器メーカー「山久漆工」が漆塗りを施したもの。熟練職人が一台ずつ手作業で仕上げています。

普通の電卓なら数千円でも買えるのに、なぜこれほど高価な商品が売れたのでしょうか。

PRESIDENT Onlineの取材では、会計士や税理士などの実務家だけでなく、伝統工芸やデザインに関心を持つ人にも支持されたことが紹介されています。さらに、漆モデルが注目された後、ベースとなった「S100X」の販売も前年の約3倍になったそうです。

仕事で毎日使うものだからこそ、気に入った道具を持ちたい。電卓は、計算のための実用品から、使い心地や所有する楽しさまで選ばれる商品へと広がり始めています。

ただし、限定モデルの完売が電卓市場全体の好調を示すわけではありません。高級モデルの人気と、一般的な電卓の販売動向は分けて考える必要があります。

スマホと電卓はどちらが便利?使い分けが答え

買い物中に割引価格を調べる、外出先で割り勘をする。そんな場面ならスマホで十分でしょう。わざわざ電卓を持ち歩く必要はありません。

一方、仕事で何十回も数字を入力するなら、押しやすいキーがある電卓のほうが快適なことがあります。大量の表を集計するときはExcel、ちょっとした実務計算は電卓という使い分けも合理的です。

電卓がスマホに勝ったというより、スマホだけでは置き換えにくい仕事が残っているのです。

まとめ

スマホ時代にも電卓が使われ続けるのは、物理キーの操作性、仕事中の使いやすさ、専門機能、資格試験での必要性など、専用機ならではの利点があるからです。

さらに2026年には、9万9,000円の漆塗り電卓が国内販売分を完売。電卓を「お気に入りの仕事道具」として選ぶ需要にも注目が集まりました。

何でもできるスマホがあるからこそ、一つの作業を快適にこなす道具の良さが際立つ。電卓が今も選ばれる理由は、そんなところにあるのかもしれません。

参考:オリコンニュース、PRESIDENT Online、カシオ公式発表

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