卒業アルバムが1冊1万円以上で売れる。そんな買取サービスをご存じでしょうか。
実家の片付けで見つかった卒アルがお金になるのは驚きですが、気になるのは買い取られた後の行き先です。アルバムには自分だけでなく、同級生や先生の顔写真と名前まで載っています。
誰が運営し、何のために買い取っているのか。実際の買取価格と、個人情報の問題を調べました。
卒アル買取サービスの運営者は誰?
今回調べたのは「卒アル買取あんしん窓口」。幼稚園から大学までの卒業アルバムを対象に、LINEで写真を送って査定を受けられるサービスです。
公式サイトでは「安心・安全・秘密厳守」を掲げ、個人情報の売買が目的ではないと説明しています。
公式サイトの「古物営業法に基づく表示」には、氏名または名称として大澤仁志さん、古物商許可として群馬県公安委員会・第421170130400号と記載されています。所在地は群馬県前橋市総社町総社1114-1 リバティハイム店舗Bです。
ただし、これらは公式サイトの掲載内容であり、公安委員会の記録との独立した照合までは完了していません。法人か個人事業主かについても、表示だけでは断定できません。
なお、個人事業主が古物商許可を得て中古品を買い取ること自体は可能です。「法人でないから違法」という話ではありません。
大切なのは、許可の内容や運営者の実態、そして預かった品物をどう管理しているかでしょう。
参照:公式サイトの事業者情報
卒アルはいくらで売れる?買取価格を確認
公式サイトには、神奈川県の公立高校の卒業アルバムに12,350円という参考価格が掲載されています。ほかにも1万円前後の掲載例があります。
ただし、これはすべての卒アルがその値段で売れるという意味ではありません。学校や卒業年度、状態などによって査定結果は異なります。
公式サイトによると、LINEで査定を依頼し、金額に納得したら現物を発送。買取成立後に銀行振込で代金を受け取る流れです。
また、取引条件のページには、送料が売却者負担となる場合があること、買取成立時に本人確認書類のコピーが必要なことも記載されています。
参照:買取参考価格の掲載例
買い取った卒アルはどこで売っている?
個人的にいちばん気になったのは、ここです。
公式サイトでは、なくしたアルバムを探す人や、資料を必要とする人、コレクター、海外で日本文化に関心を持つ人などを購入者の例として挙げています。
たしかに、引っ越しでなくした卒アルを買い直したいという需要は想像できます。昔の街並みや学校行事を調べる資料として役立つこともあるでしょう。
ただ、買い取ったアルバムを実際にどのサイトで販売しているのか、誰が最終的に購入しているのかは、今回確認できませんでした。
Yahoo!オークションなどに卒業アルバムが出品されることはありますが、この業者の販売先だという裏付けはありません。
販売経路が不明だからといって、不正な目的で扱っていると決めつけることもできません。それでも、顔写真や氏名が多数載った品物だけに、どのような条件で再販売しているのかは知りたいところです。
卒アルは個人情報?同級生の許可なく売ってもいい?
卒業アルバムの顔写真や氏名は、本人を識別できるものであれば原則として個人情報に当たります。
では、同級生の許可を取らずに売ると、個人情報保護法違反になるのでしょうか。
実は、ここは一概には言えません。個人が家庭で保管していた卒アルを中古品として売る場合、同級生全員の同意がないという理由だけで、直ちに同法違反になるとは限らないのです。
一方、事業者が顔写真や氏名を検索できるデータベースに整理し、事業に利用したり第三者に提供したりする場合には、個人情報保護法の規制が問題になります。
紙のアルバムをそのまま売る場合も、事業者による管理方法や利用実態によって法的な評価が変わり得ます。「中古品だから何をしても自由」というわけではありません。
「秘密厳守」で同級生の情報も守られる?
公式サイトでは、売却者が査定や取引で提供した個人情報を厳重に管理すると説明しています。
ただし、売った人の住所や連絡先を守ることと、アルバムに載っている同級生の写真や名前を守ることは、同じではありません。
第三者に渡った写真が無断転載されたり、SNS上の情報と照合されたりするリスクは考えられます。もちろん、このサービスでそうした悪用が起きたと確認できたわけではありません。
購入者に複製や転載を禁じる条件があるのか、再販売先をどこまで把握しているのか。そうした説明があれば、売る側だけでなく、写っている人にとっても安心材料になるはずです。
卒アルを売る前に考えておきたいこと
卒アルは、長年開かないまま実家の押し入れに眠っていることもあります。片付けのついでに買い取ってもらえるなら、便利に感じる人もいるでしょう。
でも、普通の古本とは少し違います。
自分の思い出であると同時に、何十人、何百人もの人の顔写真や名前が載っているからです。
今回の調査では、公式サイトに買取方法や参考価格、個人情報の取り扱いに関する説明があることを確認しました。一方で、運営者の記載内容の独立した照合と、具体的な販売経路の特定はできていません。
1万円で売れるかどうかも気になりますが、その一冊が次に誰の手に渡るのか。手放す前に、そこまで考えてみてもよいのではないでしょうか。
調査の結論:違法とは断定できないが、不明点は残る
今回確認できたのは、公式サイトに運営者の氏名・所在地・古物商許可番号が掲載されていることです。ただし、許可情報の独立した照合は完了していません。
卒アルの買取や再販売そのものが直ちに違法になるとは限りません。また、実店舗の営業が確認できないことだけで、不審な業者と判断することもできません。
一方、買い取った卒アルがどこで、誰に、どのような条件で販売されるのか、同級生の写真や氏名をどう保護しているのかは、今回の調査では明らかになりませんでした。
つまり「違法なサービス」と決めつける根拠はないものの、買取後の流通経路とプライバシー管理には確認できていない点が残ります。売却を検討するなら、運営者に具体的な取り扱い方針を確認したうえで判断したいところです。
公式サイト:卒アル買取あんしん窓口
