ユニクロのレジはなぜ置くだけで会計できる?仕組みとスーパーにない理由

ユニクロのセルフレジは、商品を入れたカゴを置くだけで合計金額が表示されます。2026年10月16日には「スーパーでも導入できないのか」というX投稿が注目されました。秘密はカメラや画像認識ではなく、値札に組み込まれた「RFID」という無線通信技術です。仕組みとスーパーで普及しにくい理由、過去の特許訴訟まで整理します。

目次

ユニクロのレジはなぜ置くだけで会計できる?

ユニクロのセルフレジは、RFID(Radio Frequency Identification)を利用しています。商品に付いた値札の内部にはICチップとアンテナがあり、レジの読み取り装置から送られる電波に応答します。バーコードのように商品を1点ずつスキャナーに向ける必要がなく、複数の商品をまとめて読み取れるのが特徴です。

値札のICタグが商品を識別する

  • 商品ごとの値札にRFIDタグが付いている
  • レジの装置が電波を送信する
  • 各タグが商品を識別する情報を返す
  • システムが商品情報と価格を照合し、合計金額を表示する

一般的なパッシブ型RFIDタグは電池を内蔵せず、読み取り装置からの電波を利用して応答します。同じデザインのTシャツを2枚購入した場合も、別々のタグとして識別できます。ただし、タグの位置や周囲の素材によって読み取りにくい場合もあるため、画面の点数と金額の確認は必要です。

実際の会計の流れは、次の動画でも確認できます。店舗や時期によって画面表示や手順は異なる場合があります。

なぜスーパーでは同じレジが普及しにくいの?

スーパーでもRFIDを使った一括読み取りは技術的に可能です。ただし、衣料品店と食品スーパーでは商品構成が大きく異なります。ユニクロは自社商品が中心なのでタグの仕様をそろえやすい一方、スーパーでは多数のメーカーが商品を供給しています。

理由① ほぼすべての商品にタグが必要

カゴの中の商品をまとめて読み取るには、対象商品に対応したタグが付いていなければなりません。メーカーの製造段階でタグを取り付ける「ソースタギング」が広がらなければ、店舗での作業負担も増えます。

理由② 安い商品ほどタグ代の負担が大きい

RFIDタグの価格だけでなく、貼り付け、読み取り機器、システム運用にも費用がかかります。仮にタグが1枚1円でも、年間1億個の商品に付ければタグ代だけで1億円。数十円の商品も多い食品スーパーでは、費用対効果の検討が欠かせません。なお、1円は説明のための仮定であり、現在のタグ価格を示すものではありません。

理由③ 食品には読み取り上の難しさも

電波を使うRFIDは水分や金属の影響を受ける場合があります。飲料や缶詰、冷凍・チルド商品には、素材や包装に合わせた工夫が必要です。また、量り売りの商品では計量結果と価格を連携させなければなりません。

コンビニでも2025年を目標に導入構想があった

2017年、経済産業省と大手コンビニ各社は「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表しました。2025年までにコンビニの取扱商品に電子タグを付けて個品管理を進める構想でしたが、実現には留保条件がありました。

  • 特殊な条件のない商品に使う普及型電子タグの価格が1円以下になること
  • メーカーによるタグの取り付けが実現し、ほぼすべての商品をRFIDで管理できる環境が整うこと

この条件は経済産業省の資料にも明記されています。2025年という目標年を過ぎたからといって、全国のコンビニで全商品への導入が完了したという意味ではありません。導入構想と実際の普及状況は区別して考える必要があります。

ユニクロのセルフレジには特許訴訟もあった

便利な仕組みですが、セルフレジの装置をめぐって特許紛争も起きています。RFID関連技術を扱うアスタリスクとNIPは、セルフレジの開口型RFID読み取り機能に関する特許をめぐり、ユニクロ・GU側に特許権侵害を主張していました。

一方、ファーストリテイリングは特許出願の公開前から独自にセルフレジを開発・使用していたと説明。双方は2021年12月23日に全面和解し、翌24日に共同発表しました。和解ではファーストリテイリングがNIPの保有する特許の有効な存在を尊重し、アスタリスクとNIPは同社による独自開発・使用を確認。訴訟と無効審判請求は取り下げられています。

したがって「ユニクロが特許侵害で敗訴した」とするのは誤りです。和解条件の詳細は公表されていません。

RFIDはレジだけでなく在庫管理にも役立つ

ファーストリテイリングは、RFIDを店舗や物流の効率化にも活用してきました。2018年のアニュアルレポートでは、商品へのRFIDタグ導入により倉庫での入荷・仕分け・検品などを自動化できることを説明しています。レジの便利さは、お客さんに見える活用例の一つなのです。

スーパーで同じ仕組みが広がれば、毎日の買い物もかなり楽になりそうです。ただし、商品ごとのタグ付けや費用、食品ならではの読み取り条件など、解決すべき課題もあります。ユニクロのセルフレジは、身近な買い物で技術の進歩を感じられる好例といえそうです。

参考:ファーストリテイリング・アスタリスク・NIP共同発表/経済産業省関連調査資料/ファーストリテイリング アニュアルレポート2018

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