2026年10月22日のプロ野球ドラフト会議で、オリックスが育成6位で指名した菅原大奨(すがわら・だいすけ)選手。驚くことに、菅原選手はその月の上旬に社会人野球を引退し、熊本県のスーパー「鮮ど市場」で働いていました。
なぜ一度野球を引退した選手が指名されたのでしょうか。本人の言葉や大学の発表をもとに、異例の経緯と今後の進路を追いました。
菅原大奨はなぜ引退後にドラフト指名された?
菅原選手は社会人野球チーム・熊本ゴールデンラークスでプレーしていましたが、24歳になった2026年10月上旬、年齢を区切りとして引退を決断しました。本人はRKK熊本放送の取材に、これからはお世話になった鮮ど市場に貢献しようと考えていたと語っています。
ところが、ドラフトの前週に球団から調査書が到着。そして22日、オリックスから育成6巡目で名前を呼ばれました。調査書は指名を保証するものではなく、本人も喜び以上に驚きが大きかったようです。
オリックスが評価したのは長打力
菅原選手は身長188cm、体重95kgの右投げ左打ちの外野手。社会人チームでは4番・右翼手を務めた大型打者です。金沢学院大学も長打力と強肩を持ち味として紹介しており、RKKによるとオリックスはその長打力を評価しました。
本人が引退を決めていても、球団の評価まで消えていたわけではありません。今回の指名は、野球を続けてきた実績が思わぬ形で報われた出来事でした。
菅原大奨の経歴と鮮ど市場での仕事
宮城県出身の菅原選手は利府高校を経て、2020年に金沢学院大学へ進学。大学の硬式野球部では左の指名打者として活躍し、2024年3月に卒業しました。
その後は熊本県のスーパー「鮮ど市場」に所属し、同社が設立した熊本ゴールデンラークスでプレー。午前中は鮮魚売り場で働き、午後は野球の練習に励む毎日でした。
魚をさばく姿が全国的に話題に
KAB熊本朝日放送の取材では、特売の日には魚を90枚ほどブロックに加工すると説明。鮮ど市場が公開した商品紹介動画では、養殖真鯛のおすすめポイントを話す姿も注目されました。
ドラフト翌日の10月23日も、菅原選手は鮮ど市場嘉島店の鮮魚コーナーに出勤。RKKの取材では天然アユを紹介し、同僚からはけがをしないようバットを振っておけと冗談交じりに声をかけられていました。前日にプロ指名されたとは思えない、普段通りの光景です。
社会人野球での成績は?
一球速報.comに掲載された2026年の直近7試合では、28打数8安打、打率.286、二塁打1本、三塁打1本、2打点。10月4日のKMG戦では三塁打を放っています。これはサイトに掲載された対象7試合の集計で、年間全試合の成績ではありません。
長打力を期待される選手だけに、プロの投手を相手にどこまで打球を飛ばせるかが注目点になりそうです。
鮮ど市場は退職する?2027年からどうなる
ドラフト指名は入団決定と同じではありません。今後、オリックスとの交渉を経て契約が成立すれば、育成選手としてプロ生活が始まります。
金沢学院大学の発表では、2027年早々にチームへ合流する予定とされています。鮮ど市場での具体的な退職日や雇用上の扱いは、10月24日時点で明らかになっていません。
まずは支配下登録が目標
育成選手は、そのままでは一軍公式戦に出場できません。二軍などで実績を積み、支配下選手として登録されることが必要です。菅原選手も、まずは支配下登録を目指すと話しています。
育成6位という指名順位だけで将来が決まるわけではありません。ただ、24歳からの挑戦だけに、持ち味のパワーを早く実戦で示したいところでしょう。育成契約の仕組みは育成契約を断るとどうなる?戦力外との違いでも解説しています。
目標はソフトバンクの柳田悠岐
菅原選手はRKKの取材で、ソフトバンク・柳田悠岐選手のようにパワーがあり、見る人をワクワクさせる選手になりたいと語りました。大型の左打者という共通点もあり、その豪快な打撃への憧れが伝わります。
震災を経験した菅原大奨が抱く夢
宮城県出身の菅原選手は、東日本大震災で実家が津波の被害を受けたことも明かしています。2013年に楽天が日本一になった姿に勇気づけられた経験があり、今度は自分が子どもたちの憧れになる選手を目指しています。
一度は野球に区切りをつけた24歳が、鮮魚売り場からプロの世界へ。まずは契約交渉、そして2027年の育成選手としての挑戦が待っています。恩返しを誓う菅原選手が、いつか一軍の打席に立つ日を楽しみにしたいですね。