生ハンバーグの店はなぜ営業できる?違法性や保健所の規制を解説

赤い断面が特徴の「生ハンバーグ」。名古屋・大須の新店舗を紹介する動画をきっかけに、「なぜ生肉のハンバーグを出す店が営業できるのか」と疑問が広がっています。

結論からいうと、「生ハンバーグ」という名前だけで一律に違法になるわけではありません。ただし、牛肉の生食には法的な基準があり、加熱用のひき肉料理は中心部まで十分に火を通す必要があります。店の営業許可と、個々の料理を生で食べても安全かどうかは別問題です。

目次

生ハンバーグの店はなぜ営業できる?法律と保健所の規制

食品衛生法では、料理名だけで合法・違法を決めるのではなく、食肉の種類、加工・調理工程、提供方法などによって判断されます。

2011年10月からは、生食用牛肉(内臓を除く)に規格基準が設けられました。生食用として提供するには、専用設備や加工・調理方法などの基準を満たさなければなりません。一方、牛レバーは2012年7月から、豚肉や豚の内臓は2015年6月から、生食用としての販売・提供が禁止されています。

ユッケと客が焼くハンバーグは違う

ユッケのように生で食べる牛肉と、客が鉄板などで仕上げの加熱をするハンバーグでは、提供の前提が異なります。ただし、客が焼く形式なら無条件で問題ないということではありません。加熱用のひき肉は、食べる段階で中心部まで十分に加熱する必要があります。

厚生労働省の2022年の通知では、挽肉調理品などを扱う飲食店について、十分な加熱や、客に必要な加熱方法を具体的に知らせることなどの監視指導を求めています。店内に加熱設備があるか、実際にどう食べるかも重要です。

保健所の許可があれば生で食べても安全?

飲食店の営業許可は、施設や営業についての許可です。すべての料理を生で食べても安全だと保証するものではありません。生食用食肉に関する基準を満たす必要がある場合もあり、「保健所の許可がある」という説明だけで、具体的に何が認められたのかまでは判断できません。

生ハンバーグが危険といわれる理由

最大の注意点は、ひき肉には食中毒菌が内部まで入り込む可能性があることです。ステーキのような一枚肉とは異なり、肉を細かく加工する過程で表面の菌が全体に広がるおそれがあります。

厚生労働省は、ハンバーグやメンチカツなどの生のひき肉を使った製品について、中心部まで十分に加熱するよう注意喚起しています。目安は中心部75℃で1分間以上、または同等の加熱効果がある方法です。

「新鮮な肉だから大丈夫」「表面が焼けているから大丈夫」とは言えません。O157などの腸管出血性大腸菌は少ない菌量でも感染する場合があり、重症化することもあります。断面の色や肉汁は確認の参考になりますが、温度と加熱時間を確実に判断するには中心温度計が役立ちます。

名古屋・大須の「ひろきや」はどうなのか

2026年10月、名古屋のグルメ情報を発信する「ナゴグル」が、10月18日オープン予定とされる「手作りハンバーグの店 ひろきや」を紹介。赤いハンバーグや卵黄を使った演出が注目され、加熱状態を心配する声も出ました。

店舗側が生食用食肉の取り扱いや保健所の許可に言及しているという報道もあります。ただし、その説明が具体的にどの施設・工程・料理に関するものか、行政資料で確認できたわけではありません。系列店に関する説明を新店舗の許可内容と同一視することもできません。

動画だけでは肉の製造工程、事前の加熱殺菌、実際に客が食べるときの状態までは分かりません。現時点で、この店に食品衛生法違反があったと断定できる根拠は確認できません。

過去のユッケ食中毒事件で何が変わった?

2011年には「焼肉酒家えびす」のユッケを原因とする大規模な食中毒事件が発生し、死者も出ました。これを受け、生食用牛肉の規格基準が導入されました。

また、2022年にはレアステーキと称して生に近い牛肉を提供した事例を受け、厚生労働省が腸管出血性大腸菌による食中毒防止の徹底を通知しています。名前を「レアステーキ」などに変えれば生食用牛肉の基準を回避できるというわけではありません。

食中毒を防ぐための規制や指導は強化されてきましたが、肉料理のすべてを一律に禁止する仕組みではないため、提供方法ごとの確認が必要になります。

生ハンバーグを食べる際の注意点

  • 加熱用のハンバーグは中心部まで十分に焼く
  • 店員に推奨される加熱方法を確認する
  • 鉄板の余熱だけで十分か、見た目だけで判断しない
  • 小さな子どもや高齢者、妊娠中の人などは特に加熱不足を避ける
  • 生食可能との説明があっても、対象の肉や加工方法を確認する

生ハンバーグの店が営業できるのは、「生ハンバーグ」が一律に禁止されているわけではなく、実際の加工・提供方法によって規制が異なるためです。ただし、営業できることと、加熱不足のひき肉を安全に食べられることは別です。見た目の珍しさだけで判断せず、十分な加熱と店側の説明を大切にしたいですね。

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