flumpoolのギタリスト・阪井一生さんが、作曲家の大浦史記さんから訴えられていたことが2026年10月20日に報じられました。
争点となっているのは、TBSドラマ『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』の劇伴曲『声にならない想い』を誰が作曲したのか、そして作曲者の名前が適切に表記されたのかという問題です。
大浦さんは長年にわたり阪井さんの依頼で楽曲を制作したと主張。一方、阪井さんは同日、自身のXで「制作過程において双方に誤解が生じたことは事実」と説明し、裁判中のため詳細を控えるとしました。現時点で盗作や著作権侵害が裁判所に認定されたわけではありません。
阪井一生はなぜ訴えられた?『対岸の家事』の作曲者名義が争点に
発端は2025年4月期に放送された、多部未華子さん主演のドラマ『対岸の家事』です。劇中で流れる音楽をめぐり、阪井さんと大浦さんの認識が食い違いました。
週刊女性PRIMEによると、大浦さんは2024年12月に阪井さんから依頼を受け、16曲を制作してデータを提出したと説明しています。そのうちの1曲が、今回の訴訟の対象となった『声にならない想い』でした。
大浦さんは2025年1月18日、ドラマの公式サイトやエンドロールに阪井さんとの連名で名前を載せてほしいと申し入れたといいます。しかし、阪井さんからは難しいとの説明があり、サウンドトラックや配信での共作表記の可能性が話題になったそうです。
その後、大浦さんはSNSでサウンドトラックCDの発売を知り、改めて作曲者としての表記を求めましたが、希望は実現しなかったと主張しています。
調停でも合意に至らず、2025年9月に訴訟へ。報道によれば、大浦さんは『声にならない想い』をめぐる100万円の損害賠償、謝罪文の掲載、サウンドトラックCDの在庫破棄と流通停止などを求めています。
2026年10月13日には東京地裁中目黒庁舎で本人尋問が行われ、阪井さんも出廷しました。なお、請求内容は大浦さん側の求めであり、裁判所が認めたという意味ではありません。
大浦史記とは?阪井一生との8年間の仕事と報酬
大浦史記さんは、ピアニスト・作曲家として活動し、ピアノ講師も務める人物です。週刊女性PRIMEは、2027年発売予定のホラーゲームの音楽も担当していると紹介しています。
2人が仕事を始めたのは2017年ごろ。音楽関係者の紹介がきっかけだったといいます。
最初の仕事は、2017年9月放送の『FNS27時間テレビ にほんのれきし』の劇伴制作でした。大浦さんによれば、阪井さんが作った曲にピアノを加える仕事だと思っていたものの、実際には自分が最初から制作したとのこと。10曲弱を納品し、報酬は約2万円だったと話しています。
その後も仕事は続き、Netflixの『未来日記』などにも関わったと説明しています。ただ、制作した曲に自分の名前が残らないことが、次第に気になるようになったそうです。
ドラマの劇伴は、画面に映る出演者ほど作り手が知られるものではありません。それでも、作曲者のクレジットは次の仕事につながる大切な実績です。大浦さんが問題視しているのは、報酬の額だけでなく、自分が作ったと考える楽曲の著作者として扱われなかったことでした。
大浦さんは、過去に制作したと考える楽曲が阪井さん名義でJASRACに登録されていたとも主張。今回の対象曲『声にならない想い』については、登録名義が自分に変更されたと説明しています。ただし、登録名義だけで個々の制作工程やすべての権利関係が確定するわけではありません。
阪井一生は盗作を認めた?法廷での説明とXでの謝罪
では、阪井さんは何を説明しているのでしょうか。
週刊女性PRIMEが伝えた10月13日の本人尋問では、阪井さんは作曲家には音楽監督のような役割もあるという認識を示しました。納品時には各楽器の音を分けたデータを用意することや、ピアノのデータだけで楽曲全体が成立するわけではないことも説明しています。
ここには「実際に音を作ること」と「音楽制作全体を監督すること」をどう評価するか、という難しい問題があります。ただし、どちらの役割を担ったかだけで著作者が自動的に決まるわけではなく、具体的な創作への関与や契約内容が重要になります。
また、大浦さんが作曲者名義にこだわっているとは認識していなかった、契約関係は所属事務所に任せていたという趣旨の説明も報じられています。一方、大浦さんは阪井さんの説明に納得しておらず、両者の主張は対立しています。
10月20日の本人声明では何を謝罪した?
報道が出た10月20日、阪井さんは公式X(@fp_kazuki)で声明を発表しました。関係者やファンに心配をかけたことを謝罪したうえで、制作過程で双方に誤解が生じたことを認めています。
ただし、裁判が続いているため、具体的な内容や事実関係については現段階で詳しく話せないと説明。今後も代理人弁護士と相談しながら早期解決に向けて対応する姿勢を示しました。
この声明は、盗作や著作権侵害を全面的に認めたものではありません。「謝罪した=裁判の争点を認めた」と受け取らないことが大切です。
なお、報道には調停段階で600万円の解決金をめぐる話があったことも登場しますが、これは訴訟で求められている100万円とは別の話です。600万円の支払いが確定したということではありません。
flumpoolのヒット曲にも関係がある?
flumpoolといえば、『花になれ』『君に届け』などのヒット曲で知られるバンドです。今回のニュースから、バンドの代表曲にもゴーストライターがいたのでは、と気になった人もいるかもしれません。
しかし、今回報じられているのは、阪井さんが担当した番組やドラマの劇伴制作をめぐる争いです。flumpoolの代表曲を大浦さんが代作していたと確認されたわけではありません。ほかのメンバーが訴訟に関わっているという報道でもありません。
2026年10月20日時点で裁判は続いています。大浦さんは自身の作曲者としての権利を主張し、阪井さんは制作過程の認識の違いを説明しています。
長年続いた仕事上の関係が、なぜ裁判にまで発展したのか。音楽を作った人の名前をどう残すべきかという問題も含め、今後の判断が注目されます。
※本記事は2026年10月20日時点の報道と阪井一生さんのX声明をもとに作成しました。訴訟当事者の主張は裁判所の認定事実とは区別しています。
