芦田愛菜さんが主演するドラマ『南田南弁護士は天才肌』が2026年10月19日にスタートし、その演技が話題になっています。
絶賛されているのは、単に難しい法律用語をすらすら話せるからではありません。自閉スペクトラム症(ASD)のある新人弁護士・南田南の視線や話し方、感情の伝え方を細かく表現している点です。
では、ASDにはどんな特性があり、芦田さんは何を意識して演じているのでしょうか。本人の発言や第1話の内容、韓国版との違いを整理しました。
芦田愛菜の演技は何がすごい?本人が語った役作り
南田南は、東京大学法学部を首席で卒業し、司法試験にもトップで合格した新人弁護士。しかしASDに対する偏見から就職先が見つからず、ようやく法律事務所で働き始めます。
第1話放送後には、視線の動かし方や仕草の細かさに注目する感想が報じられました。ただし、SNSで紹介された好意的な声が、視聴者全体の評価を表しているわけではありません。
一番難しかったのは「節回し」
特に興味深いのが、芦田さん自身が明かした役作りです。2026年10月16日公開の制作発表会見レポートによると、一番難しかったのは話し方の「節回し」だったそうです。
法律やクジラについて説明するセリフは、文字だけを見ると堅く、感情を乗せにくい。それでも南の心の中には確かな感情があり、それを相手に伝えるのが苦手という人物像をどう表現するか、悩んだといいます。
父親が南の内面を理解する言葉をかける第1話の場面が、役をつかむきっかけにもなったそうです。
つまり、芦田さんが目指しているのは、感情のない人物ではありません。感情はあるのに、その伝わり方が周囲と少し違う南という一人の人間です。ここが演技を見るうえで大切なポイントでしょう。
エスカレーターの前で立ち止まる場面
第1話では、初出勤した南が苦手なエスカレーターを前にして、なかなか一歩を踏み出せません。そこで手を差し伸べるのが、高橋文哉さん演じるパラリーガルの船井湊人です。
南が直面する困難と、周囲の人がどのように関わるかを印象づける場面でした。こうした何気ない日常の動作も、主人公の人物像を伝える重要な演技になっています。
ASDにはどんな特徴がある?芦田愛菜はそれを再現している?
自閉スペクトラム症(ASD)は、コミュニケーションや対人関係の取り方、興味や行動の傾向、感覚の受け止め方などに特性が見られる発達障害の一つです。
例えば、相手と目を合わせることが負担になる人、言葉を文字どおりに受け取りやすい人、会話のリズムや抑揚が独特な人がいます。音や光に敏感だったり、決まった手順が変わると強い不安を感じたりする場合もあります。
ただし、これらはあくまで一例。ASDのある人すべてに同じ特徴が見られるわけではありません。
視線や話し方を真似すればよいわけではない
南の演技でも、視線の向け方や言葉の間、反応のタイミングが注目されています。しかし、特定の仕草があるからASDだと判断できるものではありません。
また、表情や声の抑揚が控えめだからといって、感情そのものが乏しいわけでもありません。芦田さんが節回しに悩んだという話は、まさにその違いを表現しようとしたエピソードといえそうです。
ドラマの演技が医学的にどこまで正確かについては、専門家の評価や当事者の受け止め方も必要です。現段階で「ASDの特徴を完璧に再現した」と断定することはできません。
ASDだから天才というわけではない
南は法律の知識が豊富で、独自の発想力を持つ人物として描かれています。ただ、ASDのある人が必ず特別な記憶力や突出した才能を持つわけではありません。
得意なことや苦手なこと、知的能力には大きな個人差があります。南はASDのある人全体の代表ではなく、あくまでドラマの中の一人の新人弁護士です。
その前提を知っておくと、南の行動を単に「変わっている」と見るのではなく、本人の感じ方や周囲とのすれ違いに目を向けやすくなるでしょう。
韓国版『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』とどう違う?
このドラマの原作は、2022年に韓国で放送され、Netflixでも人気を集めた『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』です。主人公を演じたパク・ウンビンさんは、2023年の百想芸術大賞でテレビ部門の大賞を受賞しました。
日本版では主人公の名前をウ・ヨンウから南田南に変更。どちらも前から読んでも後ろから読んでも同じになる名前です。韓国版のキンパ店は日本版ではおむすび店に、初出勤で苦戦する回転扉はエスカレーターになりました。
一方、原作と日本版を比較した記事では、主人公の姿勢や視線の使い方にも違いがあると指摘されています。同じ物語でも、演じる俳優によって人物の印象は変わります。
ここで大切なのは、どちらが「よりASDらしいか」を競うことではないでしょう。パクさんのウ・ヨンウと芦田さんの南田南、それぞれが一人の人物としてどのように描かれるかに注目したいところです。
原作や実話との関係については、『南田南弁護士は天才肌』の原作・モデルや実話の事件を調査した記事でも詳しく紹介しています。
芦田愛菜の新たな代表作になる?
芦田愛菜さんは子役時代から演技力を評価されてきましたが、今回の役では、法廷で長いセリフを話す技術に加え、南の内面をどのように表現するかが問われています。
制作発表会見では、第1話の法廷シーンで自身も南も緊張していた一方、撮影を重ねるなかで成長を感じているとも語っていました。
まだ始まったばかりのドラマですが、視線や話し方の細部に注目が集まったのは、それだけ人物の作り込みが印象に残ったからかもしれません。
今後は南が弁護士として成長していく姿だけでなく、船井湊人との関係や、周囲が南をどう理解していくかも見どころです。
「ASDのある人を上手に真似している」という評価だけでは語りきれない、芦田さんならではの南田南が見えてくることを期待したいですね。
関連する出演者については、久保史緒里さんの役柄を紹介した記事、柿原りんかさんの経歴を紹介した記事もどうぞ。
