小嶋陽菜さんは、いまや「元AKB48の人気メンバー」という肩書きだけでは語れない実業家です。自身が手がけた「Her lip to」などの運営会社は、2026年4月に上場企業yutoriの完全子会社となりました。しかも、小嶋さん個人への株式譲渡対価は18億2,000万円。この金額は推測ではなく、上場企業の開示資料で確認できます。
では、何を売ってここまで稼ぎ、税金を引くといくら残るのでしょうか。会社の売上と本人の収入を混同せず、数字を追ってみます。
小嶋陽菜は何で稼いだ?アパレルと美容のブランド事業
ビジネスの柱は2018年に始まった「Her lip to(ハーリップトゥ)」です。ワンピースなどのファッションを中心に、ビューティブランド「Her lip to BEAUTY」、ランジェリーブランド「ROSIER by Her lip to」へと展開してきました。
運営会社heart relationの2023年12月期の売上高は約29億3,100万円、営業利益は約3億700万円。2024年12月期には売上高約41億1,800万円、営業利益約5億6,800万円へ成長しました。いずれもyutoriの2026年4月13日付開示資料に記載された実績です。
40億円超という売上は驚く数字ですが、会社の売上高=小嶋さんの年収ではありません。商品製造費や人件費、店舗費用などがかかりますし、会社に残る利益も本人の財布にそのまま入るわけではないのです。
経営者としての報酬や芸能活動の収入についても、具体的な年収は公表されていません。
2024年と2026年、株式売却でいくら受け取った?
2024年:会社の51%を約16億8,300万円で売却
2024年8月、yutoriはheart relation株式の51%を取得しました。取得額は約16億8,300万円です。ただし、これは売却した株主全体に対する取引額であり、小嶋さん個人が全額を受け取ったという意味ではありません。
当時の小嶋さんの持株比率は79.5%。2026年の追加取得直前には45.5%だったため、単純に比べると34ポイント減っています。
この差の34%分を2024年の取引で売却し、全株主に同じ株価が適用されたと仮定すれば、本人の譲渡対価は約11億2,200万円と試算できます。ただし、個人への実際の支払額として確認できた数字ではありません。
2026年:本人への対価18億2,000万円は公式資料で確認
2026年4月13日、yutoriは残る49%を約19億6,000万円で取得すると発表。4月30日には完全子会社化の完了も公表しました。
この取引で重要なのは、小嶋さん本人の株式譲渡代金債権が18億2,000万円と明記されていることです。残る株主の分を含めた会社全体の買収額とは区別できます。
さらに18億2,000万円のうち、1億1,663万3,600円はyutoriの新株5万3,600株を受け取る形で決済されました。差額の17億336万6,400円が現金相当です。
つまり、18億2,000万円が丸ごと銀行口座に振り込まれたわけではありません。小嶋さんはheart relationの株式を売却する一方で、親会社yutoriの株主にもなったのです。
税金を引いた手取りはいくら?資産残高はわかる?
一般に個人が株式を売却した利益には、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて20.315%の税率が適用されます。ただし税金は売却額の全額ではなく、取得費や譲渡費用を引いた譲渡益にかかります。
仮に2026年の18億2,000万円すべてを課税対象とする極端に単純な計算では、税額は約3億6,973万円、税引き後の価値は約14億5,027万円となります。
実際には株式の取得費などを差し引くため、この数字は確定した納税額でも手取りでもありません。また、約14.5億円にはyutori株で受け取った分も含まれます。税金をいつ、どの資金から支払ったかも公開されていません。
2024年分の本人受取額まで仮定を重ねて足し合わせれば、さらに大きな金額になります。しかし、それを「現在の預金額」「総資産」と断言することはできません。保有株式の時価も動きますし、不動産や借入金、ほかの資産・負債も不明だからです。
確認できる結論は、2026年の本人への譲渡対価が18億2,000万円であること。現在手元に残っている正確な金額は非公表ということです。
なぜ数十億円規模で買われた?人気だけではない収益力
小嶋さんがすごいのは、知名度を単発のグッズ販売で終わらせなかったところでしょう。洋服から香り、美容、ランジェリーへと商品を広げ、継続して購入してもらえるブランドを育てました。
買い手のyutoriも、heart relationが安定的に利益を生み、今後も成長の余地があることを完全子会社化の理由に挙げています。タレントの人気に加えて、事業として利益が出ている点が評価されたわけです。
2024年の資本提携について、小嶋さんは公式noteで事業をさらに成長させるための選択だったと説明しています。2026年の発表でも代表取締役CCOとして紹介されており、株式を手放したからといってブランドづくりから引退したわけではありません。
かつてのアイドルが、自分の世界観をブランドに変え、そのブランドを数十億円規模の企業価値に育てる。小嶋さんのビジネスで本当に注目したいのは、派手な金額の裏にあるこの積み重ねなのかもしれません。
まとめ
小嶋陽菜さんが稼いだ中心は、ファッション・美容・ランジェリーを展開するHer lip to関連事業です。2024年の運営会社売上高は約41億1,800万円、営業利益は約5億6,800万円に達しました。
株式売却では2026年に本人への対価18億2,000万円が確認できますが、その一部は現金ではなくyutori株式です。2024年の本人受取額、実際の納税額、現在の総資産については公開資料だけでは確定できません。
参考資料・関連記事
yutori・2026年4月13日付適時開示/yutori・2026年4月30日付完了のお知らせ/yutori・2024年買収説明資料/heart relation公式note
