ソフトバンクグループの孫正義さんが、平日は1日約3時間、週末は約7時間もAIを使っていると明かしました。2026年10月13日公開の米投資会社Blackstoneのインタビューで語ったものです。
AIを単なる検索ツールではなく、考えを深めるための議論相手として使っているという孫さん。具体的な活用方法と、OpenAIへの巨額投資、ロボット事業への展望を本人の発言と公式資料から整理します。
孫正義はAIを毎日3時間何に使っている?
孫正義さんはBlackstoneの公式番組「Inside Blackstone」で、平日に約3時間、週末には約7時間AIを利用していると語っています。
特徴的なのは、AIの回答をそのまま受け入れず、何度も問い直すこと。別の角度から考えられないか、もっと効率を上げられないかと議論を重ねる使い方です。
孫さんにとってAIは、思考を代行してもらう道具というよりも、ブレインストーミングやアイデアの検討を手伝う相手といえそうです。AIを使うことで人間が考えなくなるという見方に対しても、むしろ自分は深く考えるようになるという趣旨の説明をしています。
ChatGPTを使っているの?
孫さんが毎日使用するAIの具体的なサービス名やモデル名は、今回のインタビューだけでは特定できません。ソフトバンクグループはChatGPTを開発するOpenAIに巨額の出資をしていますが、本人の普段の利用ツールまでChatGPTと断定することはできません。
一般の利用者でも「この案の弱点は?」「別の選択肢は?」「20%効率化するには?」と対話型AIに問い直すことで、孫さんが説明したような使い方を試せます。
発言の原文は、Blackstoneの公式インタビュー・書き起こしで確認できます。
OpenAIへの投資は累計646億ドルに
孫さんがAIに力を入れるのは、個人的な利用だけではありません。ソフトバンクグループは2026年2月、OpenAIへの300億ドルの追加出資を発表しました。
その後、同年10月1日に最後の100億ドルの出資を実行。公式発表によると、これで追加出資が完了し、OpenAIへの累計出資額は646億ドル、持分比率は約13%となりました。
出資規模は日本円で約10兆円に相当しますが、為替レートによって円換算額は変わります。
なぜこれほど大きな資金をAIに投じるのでしょうか。
AIモデルだけでなく産業全体を重視
今回のインタビューで孫さんは、AIモデル、半導体、データセンター、ロボットなど、AI産業を支える幅広い分野への投資を説明しています。
AIの頭脳となるモデルが進化しても、動かすための半導体や電力、データセンターがなければ普及は進みません。さらに、AIが現実世界で作業するにはロボット技術も必要になります。
こうした領域を横断して投資することで、AI産業全体の成長を取り込もうという戦略です。
また孫さんは、投資先の株式を保有するだけではなく、企業の成長に関わり、投資先同士の相乗効果を生み出すことを重視しています。
巨額投資にリスクはない?
過去にはAlibabaへの投資で大きな成果を上げた一方、WeWorkへの投資では損失も経験したソフトバンクグループ。AIへの投資が必ず成功するとは限りません。
2026年10月13日には、ロイターが同社の大型社債発行とAIへの集中投資に伴う財務面のリスクを報じています。
孫さんはAIの将来性を強く信じていますが、企業価値の変動や資金調達負担なども含め、今後の動向を見ていく必要があります。
次の大きなテーマはロボット事業
孫さんは今回のインタビューで、30社を超えるロボット関連企業に投資していると説明しています。
注目するのは、AIが文章や画像を生成するだけでなく、ロボットを通じて現実世界の仕事を担う未来です。こうした技術は「フィジカルAI」と呼ばれます。
ソフトバンクグループは、産業用ロボットなどの領域にも事業を広げようとしています。AIの判断能力とロボットの動作技術を組み合わせれば、工場や物流だけでなく、家庭内の作業を支援できる可能性もあります。
ただし、家庭用ロボットが一般家庭にいつ普及するか、どの程度の価格になるかについて、今回の発言で具体的な予定が確定したわけではありません。
10年後の戦略を毎日考え直す孫正義の経営観
インタビューでは、孫さんが長期的な未来を見据えながら、日々新しい情報を取り入れて戦略を見直す姿勢も語られました。
AIの発展については楽観的な立場で、医療や自動車などさまざまな分野の進歩につながると考えています。
一方で、AIの安全性に関する課題も認識しています。孫さんは技術開発を過度に減速させるべきではないという考えですが、安全性をめぐっては専門家の間でも議論が続いています。
孫さんが日常的にAIと議論を重ねることは、未来の予測が難しいからこそ、考え続けて判断を更新していくという経営姿勢にもつながっているのでしょう。
毎日3時間、週末は7時間という使用時間も印象的ですが、さらに興味深いのはその中身です。AIに答えを丸投げせず、何度も議論して自分の考えを磨く。巨額投資を進める孫正義さんのAIとの向き合い方は、仕事や日常でAIを使う人にとっても参考になりそうです。
