『あさりちゃん』を読んで育った人なら、「室山まゆみ」という名前を覚えているのではないでしょうか。
実は室山まゆみは一人の漫画家ではなく、姉・室山眞弓さんと妹・室山眞里子さんによる姉妹の共同名義です。
中学生時代に合作を始め、2024年には55年を迎えた超ベテランコンビ。そんな2人が『月曜から夜ふかし』に登場すると、作品にも負けない歯に衣着せぬトークが話題になりました。
『あさりちゃん』を36年間描き続けた姉妹とは、いったいどんな2人なのでしょうか。
室山まゆみ・まりこは「あさりちゃん」を生んだ姉妹漫画家
『あさりちゃん』の作者「室山まゆみ」は、姉の室山眞弓(むろやま・まゆみ)さんと、妹の室山眞里子(むろやま・まりこ)さんによる漫画家コンビです。
『あさりちゃん』公式サイトでも、「二人(眞弓と眞里子)で一人(まゆみ)のまんが家」と紹介されています。
姉の眞弓さんは1955年生まれ、妹の眞里子さんは1957年生まれ。熊本県出身です。
2人が合作を始めたのは、まだ中学生だった1969年のこと。
当初はそれぞれ一人で漫画を描いていたものの、なかなか作品を完成させられなかったため、姉妹で協力するようになったといいます。
そして10ページの投稿作品『吸血鬼』を完成させたことから、長い合作生活が始まりました。
1976年には『がんばれ姉子』で漫画家デビュー。1978年に代表作となる『あさりちゃん』がスタートします。
つまり『あさりちゃん』だけでも昭和から平成にまたがって足掛け36年。姉妹の合作そのものは2024年時点で55年に達していました。
姉妹や夫婦など2人組で創作活動をするケースはありますが、10代から半世紀以上にわたって同じ相手と作品を作り続けているのは驚きです。
室山姉妹が毒舌すぎる?月曜から夜ふかしで話題に
そんな室山姉妹が2026年9月28日放送の『月曜から夜ふかし』に登場し、改めて注目を集めました。
特に話題になったのが、2人のかなりストレートな物言いです。
番組ではデジタル教科書への移行について持論を語ったほか、長年漫画を描いてきた経験についても飾らないトークを展開。
35年以上にわたって『あさりちゃん』を描き続けてきたからこそ出てくる言葉もあり、長寿漫画家とは思えないほど軽快なやり取りを見せていました。
放送後、Xでは「どっちも口が悪くて面白い」「作品のイメージ通り」といった趣旨の反応が広がっています。
さらにXでは、過去のファンレターにまつわるエピソードも再び話題になりました。
以前、室山姉妹と対談した人物が、子どもの頃に『あさりちゃん』の作者へファンレターを送ったことを伝えたところ、姉妹からかなり豪快な返答があったというものです。
そのエピソードを知った人からも、「あさりちゃんの作者らしい」と面白がる声が見られました。
ただし、これは過去の対談についてXで紹介されたエピソードです。実際に届いたファンレターをすべて同じように扱っていたと確認されたものではないため、その点は分けて考えたほうがよさそうです。
そして興味深いのは、室山姉妹の遠慮のない掛け合いが、今回だけのテレビ用のキャラクターというわけでもなさそうなことです。
過去のインタビューを読むと、妹・眞里子さんの話に姉・眞弓さんがツッコミを入れたり、お互いに率直な意見を言ったりする場面がたびたび登場します。
このテンポ感を見て、『あさりちゃん』の主人公・あさりと姉のタタミを思い出した人がいるのも納得です。
55年も姉妹で漫画を描ける理由は?意外な合作方法
ここで気になるのが、なぜ姉妹でこれほど長く仕事を続けられたのかということです。
室山姉妹は、漫画制作をかなり細かく分担しています。
2024年のインタビューによると、基本的には妹・眞里子さんが下絵を描き、姉・眞弓さんが人物の主線をペン入れ。再び眞里子さんが背景を描き、最後に眞弓さんが仕上げるという流れです。
一枚の原稿が姉から妹、そして再び姉へと渡りながら完成していくわけです。
作品の内容についても遠慮はありません。
妹の眞里子さんは、姉を「一番最初の読者」と考えていたそうで、ネームを見せて「面白くない」と言われれば作り直していたと明かしています。
テレビで見せた歯に衣着せぬやり取りは、漫画作りの現場でも生かされていたのかもしれません。
相手が家族だから何でも許されるというより、面白くなければ面白くないと言える関係だったからこそ、長期間にわたって作品の質を保つことができたとも考えられます。
『あさりちゃん』も、あさりとタタミが遠慮なくぶつかり合う姉妹関係が大きな魅力でした。
作者自身も姉妹コンビだと知ってから読み返すと、また違った面白さが見えてきそうです。
室山まゆみ・まりこ姉妹の現在は?あさりちゃんは今も続いている
『あさりちゃん』は1978年にスタートし、2014年に足掛け36年の連載を終えました。
コミックスは100巻まで刊行され、「二人組による1コミックシリーズ最多発行巻数(女性作家)」としてギネス世界記録にも認定されています。
これだけ長い連載を終えたため、そのまま漫画家を引退したと思っていた人もいるかもしれません。
しかし、室山姉妹の創作活動は終わっていません。
2019年には合作50周年を迎え、公式サイトには令和初となる描き下ろし漫画も登場しました。
さらに2023年には、7年ぶりの新刊となるシリーズ102巻『あさりちゃん リベンジ』を発売。
2024年12月には完全新作描き下ろしの『あさりちゃん in パリ』がシリーズ103巻として発売されています。
2024年のインタビューでは、連載終了後に熊本日日新聞で漫画エッセーを手掛けていることや、今後は以前から描きたかった少女漫画の世界に別の形で挑戦したいという思いも語っていました。
10代で一緒に漫画を描き始め、昭和・平成・令和を姉妹で走ってきた室山眞弓さんと眞里子さん。
『月曜から夜ふかし』で見せた遠慮のないトークまで含めて、「この2人だから『あさりちゃん』が生まれたのか」と妙に納得したファンも多かったのではないでしょうか。
連載開始から半世紀近くたっても作品が読まれ、作者姉妹まで改めて話題になるのは、それだけ『あさりちゃん』が多くの人の記憶に残っている証拠なのかもしれません。
